エドアブラザメ

Hexanchus griseus 深海のサメ / 現生のサメ

基本情報

  • 和名:エドアブラザメ

  • 英名:Bluntnose Sixgill Shark

  • 学名Hexanchus griseus

  • 体長:60 – 120 cm(最大で1.4mを超える記録もあり)

  • 体重:3〜5kg

  • 生息域:深海〜中層(水深200〜2500m)。夜間に浅い場所(200m以浅)へ回遊することがある。

  • 分布:世界の温帯〜熱帯の広い海域(太平洋、大西洋、インド洋、日本近海でも確認あり)

  • IUCNレッドリスト:準絶滅危惧(NT)> 2020年「絶滅危惧(EN)」

  • 危険度:★★☆☆☆(2:人に対する危険性は低いが、大型で注意が必要)


形態

エドアブラザメは六鰓ザメ科に属し、6対の鰓裂を持つことで知られます(多くのサメは5対)。

  • 体は太くずんぐりしており、背中は灰褐色〜暗褐色。

  • 吻は丸く短い(英名 “Bluntnose” の由来)

  • 背ビレは1基のみで体の後方に位置し、原始的なサメの特徴を残しています。

  • 歯は下顎がノコギリ状に鋭く、獲物を切り裂くのに適しています。

この特徴的な姿は、古代ザメの姿を現代に残す「生きた化石」とも呼ばれます。


生態

  • 活動パターン:日中は深海(水深500〜2000m)に潜み、夜間に浅い水域へ回遊します。

  • 食性:多様な捕食者で、魚類、イカ、甲殻類、さらには他のサメや海洋哺乳類の死骸も捕食します。深海における「上位捕食者」として食物網の頂点に位置します。

  • 繁殖:胎生で、一度に最大100匹以上の仔ザメを産むことができます。仔ザメは出生時ですでに60〜70cmと比較的大きく、すぐに独立して生活します。

  • 寿命:長寿で、推定寿命は80年以上に達すると考えられています。


人との関わり・危険性

エドアブラザメは深海に生息するため、人との遭遇は稀です。ダイバーが浅場で遭遇することもありますが、基本的にはおとなしく人を襲うことはありません。ただし大型で力が強いため、接近には注意が必要です。

漁業では混獲されることがあり、肉や肝油が利用されることもあります。成長が遅く、繁殖に時間がかかるため乱獲の影響を受けやすく、IUCNでは「絶滅危惧(EN)」とされています。


トリビア

  • “生きた化石”:六対の鰓裂や後方にある1基の背ビレなど、古代的な特徴を保持しています。

  • 大量出産:一度に100匹以上の仔を産むことができるサメは珍しく、繁殖戦略として特徴的です。

  • 夜の訪問者:普段は深海にいますが、夜になると浅場に上がってくるため、漁師やダイバーが目撃することもあります。

  • 研究対象:深海生態系における上位捕食者として、食物網や深海生態の理解に重要な位置づけを持っています。


まとめ

エドアブラザメは、原始的な特徴を残す大型の深海ザメで、六対の鰓裂と太い体が特徴です。人に対する危険性は低いものの、その巨体と力強さから注意が必要です。深海における上位捕食者として重要な役割を果たし、同時に資源保護の観点からも注目されています。


FAQ(よくある質問)

Q1. エドアブラザメは人を襲いますか?

A. 基本的にはおとなしく、人を積極的に襲うことはありません。ただし大型で力が強いため接近には注意が必要です。

Q2. どのくらいの深さに生息していますか?

A. 通常は水深500〜2000mですが、夜間には浅場(水深200m以浅)に現れることがあります。

Q3. どれくらい大きくなりますか?

A. 平均で3〜5m、最大で6mを超える個体も報告されています。

Q4. 他のサメとの違いは何ですか?

A. 六対の鰓裂を持つ点、背ビレが1基しかない点など、古代的な形態が特徴です。

Q5. 絶滅の心配はありますか?

A. IUCNでは「絶滅危惧(EN)」に分類されています。乱獲や混獲の影響を受けやすく、資源保護が求められています。

参考文献・出典

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