サメサメは、私たち人間にんげんとは違ちがって肺はいを持もっていません。そのため、海うみのなかに生いきるためには、水みずから酸素さんそを取とり出だす「エラ呼吸こきゅう」が欠かかせません。

しかし、「サメサメは泳およぎ続つづけないと死しんでしまう」という話はなしを聞きいたことはありませんか？ ここでは、サメサメがどのように呼吸こきゅうしているのか、その不思議ふしぎな仕組みしくみと、泳およぎを止とめても平気へいきなサメサメがいる理由りゆうをわかりやすく解説かいせつします。

1. サメサメの基本きほんの呼吸こきゅう：ラム・ベンチレーション

ほとんどの大型おおがたのサメサメや、速はやいスピードで泳およぐサメサメ（ホホジロザメ、アオザメなど）は、「ラム・ベンチレーション」という方法ほうほうで呼吸こきゅうしています。

  • 仕組みしくみ: 口くちを少すこし開あけたまま泳およぎ続つづけ、水みずを口くちからエラへ、ラム（突つき込こむ）ように流ながし込こみます。
  • 酸素さんその取とり込こみ: エラに水みずが通とおるときに、水みずの中なかの酸素さんそだけを血液けつえきの中なかに取とり込こみます。
  • 泳およぎ続つづける理由りゆう: この方法ほうほうを使つかうサメサメは、泳およぎを止とめてしまうと、エラに新鮮しんせんな水みずが流ながれ込こまなくなり、息いきが続つづかなくなってしまいます。そのため、寝ねている間あいだでも、ゆっくりと泳およぎ続つづけなければならないのです。

2. 泳およぎを止とめても大丈夫だいじょうぶなサメサメの仕組みしくみ

ドチザメどちざめやネコザメねこざめのように、海底かいていで休やすんでいるサメサメもいます。彼らは、泳およぎを止とめても息いきができる特別とくべつな方法ほうほうを持もっています。

口腔こうくうポンプによる呼吸こきゅう

  • 仕組みしくみ: 口くちや喉のどの周まわりの筋肉きんにくを動うごかし、自力じりきで水みずを吸すい込こんでエラに送おくります。これは、人間にんげんがポンプで水みずをくみ上あげるのと同おなじような動うごきです。
  • 特徴とくちょう: この方法ほうほうを使つかうサメサメは、海底かいていにじっと休やすんだり、岩いわの隙間すきまに隠かくれたりすることができます。

噴水孔ふんすいこう（ふんすいこう）の役割やくわり

  • 噴水孔ふんすいこうとは: 目めの後うしろにある小ちいさな穴あなです。
  • 役割やくわり: 底そこにいるサメサメは、口くちが砂すなで塞ふさがれてしまうことがあります。そんなとき、この噴水孔ふんすいこうから水みずを吸すい込こんでエラに送おくります。これは、泥どろや砂すなにまみれずに呼吸こきゅうするための、とても賢かしこい工夫くふうなのです。

3. サメサメのエラ：何なん枚まいある？

ほとんどのサメサメは、頭あたまの横よこに5対ついのエラ穴あな（鰓裂さいれつ）を持もっています。

しかし、深海しんかいに住すむカグラザメかぐらざめやエドアブラザメえどあぶらざめといった原始的げんしてきなサメサメは、6対ついのエラを持もっています。さらに見みつかったラブカらぶかは7対ついのエラを持もち、これは古代こだいのサメサメの姿すがたを残のこす特徴とくちょうとされています。

このエラ穴あなの数かずを数かぞえるだけでも、サメサメの種類しゅるいや進化しんかの歴史れきしを推測すいそくすることができます。

まとめまとめ

サメサメの呼吸こきゅうの仕組みしくみは、そのサメサメの生活せいかつスタイルによって大おおきく分わけられます。

  • 速はやいサメサメは、泳およぎ続つづけて水みずをエラに突つき込こむラム・ベンチレーション。
  • ゆっくりなサメサメや海底かいていにいるサメサメは、筋肉きんにくで水みずを吸すい込こむ口腔こうくうポンプ。噴水孔ふんすいこうが役立やくだつ種しゅもいる。

この不思議ふしぎで効率的こうりつてきな呼吸こきゅうの仕組みしくみこそが、サメサメが4億年おくねんもの間あいだ、海うみの過酷かこくな環境かんきょうを生いき抜ぬいてきたひみつなのです。