約2億9000万年前(古生代ペルム紀)に生息した、下あごに螺旋状に巻いた歯列で知られる古代のサメ型軟骨魚類。「歯の渦巻き」の機能は長らく謎とされ、今日も研究が続く象徴的な古生生物です。
項目 | 内容 |
---|---|
和名 | ヘリコプリオン(通称:歯の渦巻きザメ) |
英名 | Helicoprion |
学名 | Helicoprion sp. |
推定体長 | 平均 3〜4m(最大 約7.9m とする推定もあり) |
生息時代 | 古生代ペルム紀前期〜三畳紀初期(約2億9000万年〜2億5000万年前) |
生息域 | 古代の浅海域・外洋 |
分類上の位置づけ | ユージニアオダス類(サメに近い軟骨魚類) |
危険度 | —(絶滅種) |
近い特徴のサメ | クラドセラケ(古代サメ)、オトダス(古代の大型メジロザメ類) |
形態
現生サメに近い流線型と推定されますが、最大の特徴は下あご先端の巨大な「歯の渦巻き(トースクスワール)」。古い歯が脱落せず内側へ押し込まれて堆積・螺旋化した結果と考えられます。機能については議論が続きますが、主流説では殻を持つ頭足類などの切断・破砕に用いられたとされます。
生態・食性
海洋食物連鎖の上位にいた捕食者と推測され、螺旋歯列の形態から硬い殻をもつ生物の捕食に適応していた可能性が指摘されています。近年の復元では、渦巻きは下顎の関節付近に格納され、顎を大きく開いてノコギリのように噛み込み、獲物を切り裂いたとも考えられます。
行動
最大 7m 級の個体も想定される大型捕食者。軟骨魚類ゆえ骨格の保存は限られますが、特異な歯列から高度に特殊化したニッチに適応していたことが示唆されます。
繁殖
化石記録から詳細は不明ながら、軟骨魚類であることから体内受精であった可能性が高いと見なされています。
トリビア
- 発見当初は背びれやウミヘビの骨などと誤認され、後に顎の一部と判明して大きな話題になりました。
まとめ
ヘリコプリオンは、古代サメ系統の驚異的な適応進化を象徴する存在です。「歯の渦巻き」は、環境に応じてユニークな形態が選ばれ続けたことを物語ります。
FAQ(よくある質問)
「歯の渦巻き」はどこにあった?
主流の復元では下顎の関節付近に格納され、開口時に機能したと考えられます。
何を食べていた?
殻を持つ頭足類など硬い外殻をもつ生物を切断・破砕していた可能性が指摘されています。
どれくらい大きかった?
平均 3〜4m、最大で約7.9mとする推定もあります(標本や復元モデルにより差があります)。
繁殖様式は?
化石から断定は困難ですが、軟骨魚類であるため体内受精だった可能性が高いと考えられます。
参考文献・出典
- IUCN Red List of Threatened Species https://www.iucnredlist.org/
- FishBase https://www.fishbase.se/
- FAO Fisheries & Aquaculture http://www.fao.org/fishery/