アオザメ

Isurus oxyrinchus 現生のサメ

アオザメ(Shortfin Mako)図鑑

外洋を駆ける最速級のサメ。鋭い槍状の歯と流線型ボディを備えた捕食者でありながら、資源減少により保全が急がれる。

基本情報

和名 アオザメ
英名 Shortfin Mako
学名 Isurus oxyrinchus
分類 ネズミザメ目 ネズミザメ科 アオザメ属
体長 2.5〜4m(最大4.5m超の記録もある)
体重 60〜600kg(大型個体は700kg超とも報告あり)
生息域 温帯〜熱帯の外洋・表層(水深150m程度まで)
分布 世界中の温暖な外洋域(大西洋・太平洋・インド洋、日本近海にも分布)
IUCNレッドリスト 絶滅危惧(EN)
危険度 ★★★★☆(4:攻撃性は低いが潜在的に危険)

形態

アオザメはネズミザメ科に属し、流線型の体と鎌状の胸鰭を持つ外洋性の高速遊泳サメです。

  • 背は青藍色、体側は金属光沢のある青灰色、腹は白色。
  • 歯は鋭い長い槍状で、口を閉じても飛び出して見えるのが特徴。
  • 体型は筋肉質で、尾鰭は三日月型、持久力と瞬発力を兼ね備えています。
  • 類似種の「バケアオザメ(Longfin Mako)」より胸鰭が短く、より流線型で小型。

生態

遊泳能力

サメ類の中でも最速級で、時速50〜60kmに達するとされます。短距離の突進ではさらに速く泳ぎ、カジキやマグロを追うことが可能です。

食性

主に高速遊泳魚(サバ、カツオ、マグロ、ニシン類)を捕食します。イカ類や小型サメも食べることがあります。

繁殖

卵食仔胎生。母体内で孵化した仔は未受精卵を食べて育ちます。1度に4〜25匹を出産。仔ザメは出生時から70cm以上と大きく、独立性が高い。

行動圏

回遊性が強く、大西洋横断や数千km単位の移動を行うことが衛星標識調査で確認されています。

人との関わり・危険性

アオザメは人に対して積極的に襲うことは少ないですが、気性が荒く危険度は高いとされます。釣り上げられた個体がボートに突進したり、人を噛んだ事故が報告されています。

また、スポーツフィッシングの対象として人気が高く、釣り人にとっては憧れのターゲットです。一方でその需要とフカヒレ漁の影響により資源量が減少しており、IUCNでは「絶滅危惧(EN)」に分類されています。

トリビア

  • 最速のサメ:サメ類の中で最速級。ジャンプ力も高く、釣り上げられた際には数メートルも空中へ跳び上がることがある。
  • 温血性の一部機能:体温を周囲の水温より高く保つ「区域内温度保持」を持ち、持久力と瞬発力を高めています。(→同じ能力を持つホホジロザメはこちら
  • 映画・文化:ホホジロザメに次いでしばしばメディアに登場し、「海のスプリンター」と称される。
  • 寿命:推定で20〜30年とされ、成長が遅く繁殖力も低いため、資源回復が難しい。

まとめ

アオザメは、外洋を駆ける最速級のサメで、鋭い歯と流線型の体を持つ捕食者です。人に危険を及ぼすこともありますが、それ以上に漁業や環境の影響で数を減らしており、絶滅危惧種に指定されています。スピードと力強さを象徴する存在でありながら、保護の必要性が高まっているサメです。

FAQ(よくある質問)

Q1. アオザメは人を襲いますか?

積極的に人を襲うことは少ないですが、釣り上げられた際などに事故が報告されています。

Q2. どのくらい速く泳げますか?

時速50〜60kmに達するとされ、サメ類の中では最速級です。

Q3. どこで見られますか?

世界中の温暖な外洋に広く分布しており、日本近海でも出現します。

Q4. 何を食べますか?

マグロ、サバ、カツオなどの高速回遊魚を中心に、イカ類や小型サメも捕食します。

Q5. 絶滅の心配はありますか?

はい。IUCNでは「絶滅危惧(EN)」に指定されており、乱獲や混獲の影響で個体数が減少しています。

参考文献・出典

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