クロトガリザメ

現生のサメ

基本情報

  • 和名:クロトガリザメ

  • 英名:Blacktip Shark

  • 学名Carcharhinus limbatus

  • 体長:平均 1.5〜2.5m(最大2.8mの記録あり)

  • 体重:最大 120kg前後

  • 生息域:熱帯〜亜熱帯の沿岸浅海域、サンゴ礁や汽水域にも侵入

  • 分布:大西洋西部(アメリカ東岸〜ブラジル)、東部大西洋、インド洋〜太平洋の広範囲

  • IUCNレッドリスト:近危急(NT)>2023年 絶滅危惧種(EN)に

  • 危険度:★★★☆☆(3:注意すべき中〜大型サメ)


形態

クロトガリザメはメジロザメ科の中型サメで、体は細長く流線型。最大の特徴は、胸びれ・背びれ・尾びれの先端が黒く染まっていることです。
体色は背側が灰褐色〜青灰色で、腹側は白色。鋭い三角形の歯を持ち、魚類やイカを効率的に捕らえるのに適しています。


生態

  • 食性:主にイワシ・サバなどの小魚を捕食。大群で小魚を追い込んで一斉に捕食する「フィーディングフレンジー」が観察されることもあります。イカや甲殻類も食べます。

  • 行動:沿岸に集まり、浅い海でジャンプするように水面から飛び出すことが知られています。群れで行動することも多く、回遊性も強いです。

  • 繁殖:胎生。春〜夏にかけて浅いラグーンや汽水域に移動し、1度に4〜10匹の仔を産みます。出産場所は「ナーサリー」として機能し、仔ザメの成長を助けています。

  • 成長:成長速度は比較的早く、8〜9年で成熟するとされます。


人との関わり・危険性

クロトガリザメは人間に対して攻撃的ではありませんが、沿岸で人と接触する機会が多いため、サメ咬傷事故の一因とされています。国際的な統計では、人を襲った記録は数十件ありますが、致命的なものは少ないです。

漁業では食用やフカヒレ目的で漁獲されることが多く、乱獲による資源減少が懸念されています。そのため IUCN では「準絶滅危惧(NT)」に分類されています。


トリビア

  • ジャンプ好きなサメ:水面からジャンプする姿がよく観察され、スポーツフィッシングの対象にもなっています。

  • 似ているサメとの区別:オオメジロザメやアカシュモクザメと同じエリアに分布しますが、ヒレ先の黒色で見分け可能です。

  • ダイバーとの遭遇:温暖な海域のリーフや沿岸ダイビングで比較的よく見られる種で、観光資源にもなっています。


まとめ

クロトガリザメは、黒いヒレ先が特徴的な中型のサメで、世界中の温暖な海に広く分布しています。人との遭遇例も多く注意は必要ですが、普段は臆病で人を避けることが多いサメです。生態や行動は観察しやすく、研究や観光資源としても重要な存在です。

FAQ(よくある質問)

Q1. クロトガリザメは人を襲いますか?

A. クロトガリザメは人間に対して積極的ではありません。ただし沿岸に近い場所に出現するため、過去に咬傷事故の記録があります。海水浴やダイビングでは、むやみに近づかないことが安全です。

Q2. どこでクロトガリザメを見ることができますか?

A. 温帯〜熱帯の沿岸域に広く分布しており、カリブ海、フロリダ沿岸、東南アジア、インド洋、太平洋の島々などで観察例があります。日本近海でも稀に報告されています。

Q3. クロトガリザメはどれくらい大きくなりますか?

A. 平均で1.5〜2.5mほどですが、最大で2.8mに達する記録があります。体重は100kgを超えることもあり、沿岸で見られるサメの中では大型の部類です。

Q4. クロトガリザメとブラックチップリーフシャークは同じですか?

A. 違います。クロトガリザメ(Carcharhinus limbatus)は外洋寄りの種で、最大2.5m以上になります。ブラックチップリーフシャーク(Carcharhinus melanopterus)はサンゴ礁に生息し、体長は1.5m前後です。名前が似ていますが、別の種です。

Q5. 保護の状況はどうなっていますか?

A. クロトガリザメは漁獲圧が高く、資源量の減少が懸念されています。IUCNでは「準絶滅危惧(NT)」とされており、国際的にも保護の必要性が指摘されています。

参考文献・出典

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