オグロメジロザメ(Dusky Shark)図鑑
妊娠期間が「2年」もある、成長の遅い大型サメ。クロトガリザメに似ていますが、より大きく重厚な体格を持ちます。
基本情報
| 和名 | オグロメジロザメ(尾黒目白鮫) |
|---|---|
| 英名 | Dusky Shark |
| 学名 | Carcharhinus obscurus |
| 分類 | メジロザメ目 メジロザメ科 メジロザメ属 |
| 体長 | 平均 3〜3.5m(最大4mを超える記録もあり) |
| 体重 | 200〜350kg |
| 生息域 | 温帯〜亜熱帯の外洋沿岸域、陸棚や大陸斜面の中層 |
| 分布 | 世界中の温暖な海域(大西洋西部、インド洋、太平洋、日本近海でも記録あり) |
| IUCNレッドリスト | 絶滅危惧(EN) |
| 危険度 | ★★★★☆(4:人に対して潜在的に危険性がある大型種) |
形態
オグロメジロザメはメジロザメ科の中でも大型に成長する種です。体はずんぐりとして力強く、背中は青灰色〜褐色、腹は白色をしています。
- 尾びれ:名前のとおり尾びれ(特に上葉の後端)が暗色になることが特徴ですが、若い個体ではこの黒い部分がよりはっきりしています。
- 識別ポイント:ヒレの先端に黒いマーキングが出ることもありますが、よく似たクロトガリザメやツマジロザメと区別するには、全体的に大きく重厚な体格がポイントです。また、背びれの間隆起(背中の盛り上がり)があることも特徴です。
生態
行動
外洋を回遊する回遊性サメで、若い個体は沿岸の浅い湾やラグーンを育成場として利用します。成長すると外洋の深い場所に移動します。
食性
小魚、カツオやサバなどの回遊魚、イカや甲殻類、時には小型のサメやエイも捕食する強力な捕食者です。
繁殖:驚異の妊娠期間
胎生ですが、妊娠期間はなんと 22〜24か月(約2年)と非常に長く、脊椎動物の中でも最長クラスです。出産数は6〜14匹程度で、仔ザメは生まれたときから70cmほどの大きさがあります。
成長
成長速度は極めて遅く、性成熟に20年近くかかるとされます。このため、乱獲に非常に弱い性質を持ちます。
人との関わり・危険性
オグロメジロザメは大型で力強いサメで、人との遭遇時には潜在的な危険性があります。サメ咬傷事故の報告もありますが、積極的に人を襲う性格ではありません。
一方で、フカヒレや肉を目的とした漁獲で数が激減しており、特に長い妊娠期間と遅い成熟年齢のため、資源回復が困難です。そのため IUCNでは「絶滅危惧(EN)」に指定されています。
トリビア
- 長すぎる妊娠期間:妊娠が約2年という脊椎動物でも異例の長さ。一度出産すると次の妊娠まで休みを挟むため、繁殖サイクルは3年に1度程度しかありません。
- 成長の遅さ:性成熟まで20年近くかかるため、一度減ってしまうと回復に数十年〜百年単位の時間が必要です。
まとめ
オグロメジロザメは、力強い体と外洋での回遊性を持つ大型のサメです。妊娠期間が2年と非常に長く、成長も遅いため、漁業の影響を強く受けています。絶滅危惧に指定されており、今後の保護活動と資源管理が欠かせない種といえるでしょう。
FAQ(よくある質問)
Q1. オグロメジロザメは人を襲いますか?
積極的に人を襲うサメではありませんが、大型で力が強く、接近時には危険性があります。国際的な事故統計にもいくつか咬傷例が含まれています。
Q2. 他のメジロザメとどう見分けられますか?
クロトガリザメやツマジロザメに似ていますが、オグロメジロザメはより大型で尾びれが暗色です。また全体的に体格ががっしりしています。
Q3. どのくらい大きくなりますか?
平均で3m前後、最大で4mを超える記録があります。体重は300kgを超えることもあります。
Q4. なぜ絶滅危惧種なのですか?
妊娠期間が約2年と極端に長く、成熟にも20年近くかかるため、漁業による影響から個体数が回復しにくいのです。
Q5. どこで見ることができますか?
温暖な外洋に広く分布しています。特にアメリカ東岸、アフリカ東岸、オーストラリア周辺などで観察記録があります。