サメの皮膚は微細な楯鱗で覆われ、進行方向(頭→尾)では比較的なめらかですが、尾→頭へ逆なですると紙ヤスリのようにザラつきます。ここでは接触時のリスクと初期対応をまとめます。
サメの皮膚は、一見なめらかに見えても、微細な楯鱗(歯と同じエナメル質に富む鱗)で覆われています。これは皮膚と同時に防御と攻撃性を兼ねた構造で、特にサメの体を尾から頭の向きに触ると、非常にザラザラとした「紙ヤスリ」のような感触があります。
1. 楯鱗による怪我の危険性
人がサメの皮膚で怪我をするのは、遊泳中よりも、漁業での混獲や水族館・研究現場での作業など、間近で接触する場面です。
サメの皮膚で負う傷の特徴 | 具体的な危険な場面 |
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広範囲の「擦り傷」 | 体長の大きいサメが体をこすり付けた際に生じる皮膚の広範囲な剥離。 |
深い切り傷 | 体を振り回した際に、盾鱗の角が刃物のように作用し生じる出血を伴う傷。 |
感染症 | 傷口にサメ体表の粘液や環境中の雑菌が入り込む危険性。 |
※素手での取り扱いは避け、姿勢を低く・体の接触面を最小にするのが基本です。
2. 盾鱗による怪我の対処法
サメの皮膚で負傷した場合、広範囲の擦過(剥ぎ取り)創になりやすく、感染対策が最優先です。以下は現場での初期対応の一般的な手順です。
- 止血と洗浄(徹底):まず圧迫で止血。清潔な水で傷口を十分に洗い、砂・粘液など異物を除去します。真水が理想ですが入手不可なら海水でも可(その後できるだけ早く真水で再洗浄)。
- 消毒と保護:適切な消毒後、清潔なガーゼや非固着性被覆材で覆い、テープで固定します。
- 医療機関の受診:傷が深い/広い/出血が続く/痛みや発熱、赤みの拡大がある場合は、海洋生物による外傷であることを伝えて受診。必要に応じて破傷風予防や抗菌薬の評価を受けてください。
※本記載は一般的な応急処置の目安です。症状や既往歴により対応は異なるため、迷ったら医療機関へ。
まとめ
サメの盾鱗は、小型種であっても人に損傷を与えうる構造です。混獲個体や飼育個体の取り扱い時は、軍手ではなく厚手の革手袋や前腕まで覆う耐摩耗手袋、長袖ウェアなど専門の保護具を着用し、尾→頭方向の擦過を避ける体位管理を徹底しましょう。
FAQ(よくある質問)
どの方向に触ると危険?
最も擦過しやすいのは尾→頭方向(逆なで)です。取り扱い時は頭→尾方向の一方向ストロークに限定し、可能なら触れないのが安全です。
海水で洗っても大丈夫?
現場で真水がない場合の応急としては可。その後できるだけ早く真水で再洗浄し、適切に消毒・被覆してください。
手袋はどんなタイプが良い?
軍手は絨維が削がれやすく不向き。厚手の革手袋や耐摩耗グローブ(前腕まで覆えるタイプ)が推奨です。
受診の目安は?
深い・広い傷、出血が止まらない、強い痛み、発熱・腫れ・赤みの拡大、砂や異物が除去できない場合は速やかに受診し、サメ由来の外傷である旨を伝えてください。