ファルカトゥス(Falcatus)図鑑
背中に「前向きのトゲ」を持つ小型の古代サメ。このトゲは、メスへの求愛に使われたと考えられています。
基本情報
| 和名 | ファルカトゥス |
|---|---|
| 英名 | Falcatus |
| 学名 | Falcatus falcatus |
| 分類 | シムモリウム目 ステタカントゥス科 ファルカトゥス属 |
| 体長 | 約25〜30cm(小型) |
| 生息時代 | 石炭紀前期(約3億2500万年前) |
| 生息域 | 当時の浅い海(北米モンタナ州のベア・ガルチ石灰岩層で発見) |
| 危険度 | —(絶滅種) |
形態:前向きのトゲ
ファルカトゥスは非常に小型のサメで、現代の深海ザメ(エドアブラザメなど)に似た大きな目を持っていました。
- オスの特徴:第一背びれが変化した、肩から前方の頭上に向かって突き出す「剣のようなトゲ(突起)」を持っていました。
- メスの特徴:オスのようなトゲはなく、通常の小さな背びれを持っていました。
- 体型:流線型で目が大きく、活発に泳ぎ回っていたと考えられます。
生態
求愛の証拠
ファルカトゥスの化石からは、非常に珍しい「求愛行動」の瞬間が見つかっています。 メスがオスの背中のトゲを噛んでいる状態で、2匹が一緒に化石になっているものが発見されました。これは、繁殖期にメスがオスのトゲをくわえて体を固定し、交尾を行っていたことを示唆しています。
食性
小型のエビなどの甲殻類や、小さな魚を捕食していたと考えられています。
トリビア
- 名前の由来:「Falcatus」はラテン語で「鎌(かま)のような」という意味で、オスの背中にある鎌状の突起に由来します。
- ベア・ガルチ石灰岩:ファルカトゥスの化石が見つかったモンタナ州の地層は、保存状態が極めて良いことで有名で、当時の生態系をそのまま閉じ込めた「化石の宝庫」です。
まとめ
ファルカトゥスは、オスだけが持つ「前向きのトゲ」で知られるユニークな古代サメです。メスがそのトゲを噛むという求愛行動が化石として残された稀有な例であり、太古の海のロマンスを今に伝えています。
関連
FAQ(よくある質問)
背中のトゲは何のため?
メスへの求愛アピールや、交尾の際にメスが噛み付いて体を固定するために使われたと考えられています。
どれくらい大きかった?
全長25〜30cm程度と、非常に小さいサメでした。現代のコギクザメと同じくらいのサイズです。
いつの時代のサメ?
石炭紀(約3億2500万年前)の海に生息していました。