プチコダス(Ptychodus)

古代サメ

プチコダス(Ptychodus)図鑑

鋭い牙の代わりに「洗濯板」のような平らな歯を持つ、白亜紀の巨大サメ。硬い殻を持つアンモナイトや二枚貝を噛み砕く「貝割り名人」でした。

基本情報

和名 プチコダス
英名 Ptychodus
学名 Ptychodus sp.(代表種:P. mortoni
分類 ヒボドゥス目 プチコダス科(またはネズミザメ目に近い仲間とする新説あり)
体長 推定 4〜10m(最大種は非常に巨大)
生息時代 白亜紀(約1億年前〜8500万年前)
生息域 世界中の浅い海(北米、ヨーロッパ、日本など)
危険度 —(絶滅種)

形態:洗濯板のような歯

プチコダスは、サメとしては異例の「平らな歯」を持っていました。

  • 歯の形状:数百本の平らな歯が石畳のように敷き詰められ、全体として「洗濯板」のような形状をしていました。この歯は非常に頑丈で、化石として世界中で大量に発見されています。
  • 体型:長らく謎でしたが、近年の研究(2024年の全身化石発見など)により、現代のホホジロザメやアオザメに似た、高速遊泳に適した流線型の体を持っていたことが判明しつつあります。
  • サイズ:最大種は10mに達したと考えられており、当時の海ではモササウルス類と並ぶ巨大生物でした。

生態:巨大な貝割り機

食性

その特殊な歯を使って、当時繁栄していた巨大なアンモナイトや、厚い殻を持つ二枚貝(イノセラムスなど)を噛み砕いて食べていました。 強力な顎の力で殻を粉砕し、中身だけを食べていたと考えられます。

生息環境

白亜紀の温暖な浅い海(内海)を好み、世界中に広く分布していました。日本でも北海道などで歯の化石が見つかっています。

絶滅

白亜紀の後期に姿を消しました。これは、主な獲物であった二枚貝類が減少したことや、モササウルス類などの新たな捕食者との競争に敗れたためではないかと推測されています。

トリビア

  • 名前の由来:「Ptychodus」はギリシャ語で「しわのある(Ptycho)歯(dus)」を意味します。歯の表面にある独特の凹凸模様に由来します。
  • 長年の謎:歯の化石は大量に見つかるものの、体の化石が見つからなかったため、長い間「エイの仲間」だと誤解されていました。

まとめ

プチコダスは、鋭い牙を捨てて「硬いものを噛み砕く」ことに特化した、ユニークな巨大サメです。アンモナイトを主食にするというニッチな戦略で白亜紀の海を支配しましたが、時代の変化とともに静かに姿を消しました。

FAQ(よくある質問)

何を食べていましたか?

主にアンモナイトや、イノセラムスなどの巨大な二枚貝を、殻ごと噛み砕いて食べていました。

どれくらい大きかったですか?

最大で10mにも達したと推定されており、現代のジンベエザメやウバザメに迫る巨体でした。

エイじゃないのですか?

平らな歯を持つため長い間エイの仲間だと思われていましたが、近年の研究でサメの仲間(ネズミザメ目に近い)であることが確実視されています。

参考文献・出典

  • FishBase
  • Vullo, R. et al. (2024). “A new look at the Late Cretaceous shark Ptychodus”.
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