クセナカンタス（Xenacanthus）図鑑
頭の後ろから突き出た「長いトゲ」と、ウナギのような体が特徴。海ではなく、太古の「淡水」を支配していた異色の古代サメです。
基本情報
| 和名 | クセナカンタス |
|---|---|
| 英名 | Xenacanthus |
| 学名 | Xenacanthus sp. |
| 分類 | クセナカンタス目 クセナカンタス科 クセナカンタス属 |
| 体長 | 約0.7〜1m（最大種は3m近い説も） |
| 生息時代 | デボン紀後期〜三畳紀末（約3億6000万〜2億年前） |
| 生息域 | 淡水域（川、湖、沼地） |
| 危険度 | —（絶滅種） |
形態：異形のサメ
クセナカンタスは、現代のサメとはかけ離れた独特の姿をしていました。
- 頭のトゲ：頭部の後ろから、背びれの前方に向かって長く鋭い「骨質の棘（スパイン）」が一本突き出していました。これは毒を持っていた可能性も指摘されています。
- 体型：全体的に細長く、ウナギのような姿です。背びれはリボンのように背中全体に長く伸び、尾びれと繋がっていました。
- 歯：「V字型」に二股に分かれた特殊な歯を持っていました。
生態
淡水の支配者
ほとんどのサメが海に生息する中で、クセナカンタスは淡水（川や湖）に適応していました。 当時の淡水域には大型の捕食者が少なかったため、長い期間にわたって繁栄することができました。
食性
小型の魚類や両生類、甲殻類などを捕食していたと考えられています。 濁った水中でも獲物を探せるよう、嗅覚や側線が発達していたと推測されます。
絶滅
約2億年前（三畳紀末）に絶滅しました。爬虫類（ワニの祖先など）が淡水域に進出してきたことによる競争激化や、環境変化が原因と考えられています。
トリビア
- 名前の由来：「Xenacanthus」はギリシャ語で「異質な（Xenos）トゲ（Acanthus）」を意味します。その名の通り、他のサメにはない奇妙なトゲが特徴です。
- 長期間の繁栄：約1億5000万年もの間、姿をほとんど変えずに世界中の淡水域で生きていました。これは「生きた化石」と呼ばれる現代のサメたちにも匹敵する長さです。
まとめ
クセナカンタスは、頭のトゲとウナギのような体を持つ、淡水生の古代サメです。現代のサメとは全く異なる進化の道を歩み、太古の川や湖で長きにわたって頂点捕食者として君臨しました。
FAQ（よくある質問）
どこに住んでいましたか？
海ではなく、川や湖、沼地などの「淡水」に住んでいました。化石も淡水の地層から発見されています。
頭のトゲは何のため？
大型の捕食者（大型両生類など）から身を守るための防御用だったと考えられています。毒があった可能性もあります。
いつ絶滅しましたか？
三畳紀の終わり（約2億年前）に絶滅しました。恐竜時代の初期までは生き残っていました。