アイザメ（Portuguese Dogfish）図鑑
世界中の深海に広く分布する小型サメ。人への危険は低いが、深場漁業による混獲で資源減少が懸念される種です。
基本情報
| 和名 | アイザメ |
|---|---|
| 英名 | Portuguese Dogfish |
| 学名 | Centroscymnus coelolepis |
| 分類 | ツノザメ目 ユメザメ科 アイザメ属（※オンデンザメ科とされる場合もあり） |
| 体長 | 0.9〜1.2m（最大1.3mの記録もある） |
| 体重 | 3〜5kg |
| 生息域 | 大陸棚外縁〜斜面の深海（水深400〜3600m） |
| 分布 | 世界中の深海に広く分布（大西洋・インド洋・太平洋など） |
| IUCNレッドリスト | 準絶滅危惧（NT） ※地域により危急（VU） |
| 危険度 | ★☆☆☆☆（1：人に危険性はほとんどない） |
形態
アイザメはユメザメ科に属する深海性の小型サメです。
- 体色：暗褐色〜黒色で、地味な見た目ですが深海の闇に溶け込みます。
- 皮膚：学名（coelolepis＝中空の鱗）の通り、特徴的な構造の鱗を持ち、手触りは粗くザラザラしています。
- 体型：ずんぐりとしており、尾びれはやや短めです。発光器は持たず、他の発光性ユメザメ類とは区別されます。
生態
生息環境
主に水深400〜2000mの深海に生息し、最深で3600m近くでも確認されています。これはサメ類の中でも最も深い記録の一つです。
代謝
冷たく貧栄養な深海に適応しており、代謝は非常に低く、長時間あまり動かずに過ごすことが多いと考えられます。
食性
深海魚やイカ類、甲殻類を捕食します。また、海底に沈んだ生物の死骸を食べるスカベンジャー（腐肉食）としての側面もあります。
繁殖
胎生（卵黄依存型）。1度に数匹（10〜20匹前後）の仔を産みます。成長が遅く、成熟するまでに長い年月がかかるため、繁殖力は低いです。
人との関わり・危険性
深海に生息するため人間と接触することはほとんどなく、危険性はありません。
しかし、深場延縄漁や底引き網漁などで混獲されることがあり、かつては肝臓に含まれるスクアレン（肝油）を目的に捕獲されていました。 成長が遅く繁殖力が低いため、漁業圧の影響を受けやすく、資源の減少が懸念されています。IUCNでは準絶滅危惧（NT）として扱われ、一部地域ではより深刻な評価（VU）とされています。
トリビア
- 名前の由来：学名「coelolepis」は「中空の鱗」を意味し、鱗の特殊な構造に由来します。
- 深海記録：水深3600m以深からの報告もあり、最も深く潜るサメの一つとして知られています。
- 肝油の利用：深海ザメ特有の巨大な肝臓を持ち、かつては化粧品やサプリメント原料（スクアレン）として利用されました。
まとめ
アイザメは、地味な外見ながら世界中の深海に広く分布するタフな深海ザメです。人には無害ですが、深海漁業での混獲や肝油目的の捕獲が資源に影響を与えており、保護の必要性が指摘されています。深海生態系を理解する上で欠かせないサメのひとつです。
FAQ（よくある質問）
Q1. アイザメは人を襲いますか？
いいえ。深海に生息しており、人を襲うことはありません。
Q2. どのくらいの深さに生息していますか？
主に水深400〜2000mに多く見られ、最大で3600mの深さでも確認されています。
Q3. アイザメはどのくらい大きくなりますか？
体長は0.9〜1.2mほどで、サメとしては比較的小型です。
Q4. どうして準絶滅危惧に指定されているのですか？
成長が遅く、繁殖力も低いため、深場漁業での混獲の影響を受けやすく、資源の減少が懸念されているからです。
Q5. 食用にされることはありますか？
一部では肉や肝油（スクアレン）が利用されますが、一般的に食卓に並ぶことはほとんどありません。