エドアブラザメ（Sharpnose Sevengill Shark）図鑑
「7対のエラ」を持つ珍しい深海ザメ。カグラザメに似ていますが、より小型で目が大きく、鋭い顔つきが特徴です。
基本情報
| 和名 | エドアブラザメ（江戸油鮫） |
|---|---|
| 英名 | Sharpnose Sevengill Shark |
| 学名 | Heptranchias perlo |
| 分類 | カグラザメ目 カグラザメ科 エドアブラザメ属 |
| 体長 | 1.0〜1.2m（最大1.4m程度） |
| 体重 | 3〜5kg |
| 生息域 | 大陸棚斜面の深海（水深300〜1000m）。 |
| 分布 | 世界中の温帯〜熱帯の深海に広く分布（日本近海でも確認あり） |
| IUCNレッドリスト | 準絶滅危惧（NT） |
| 危険度 | ★★☆☆☆（2：小型だが気性は荒い） |
形態
カグラザメ目に共通する「古代のサメ」の特徴を持っていますが、最大の特徴は鰓（えら）の数です。
- 鰓裂：多くのサメは5対、カグラザメは6対ですが、エドアブラザメは7対の鰓裂を持っています。
- 頭部：英名（Sharpnose）の通り、吻（鼻先）が細く尖っています。また、深海に適応した非常に大きな緑色の目を持っています。
- 背びれ：体の後方に1つだけあります。
生態
活動パターン
主に水深300〜1000mの深海に生息していますが、夜間には獲物を追って浅い場所まで上がってくることがあります。
食性
小型の深海魚（ハダカイワシなど）やイカ、甲殻類を捕食します。小型ですが活発な捕食者で、鋭い歯を使って獲物を捕らえます。
繁殖
胎生（卵胎生）。一度に9〜20匹ほどの仔ザメを産みます。
人との関わり・危険性
深海性であり、小型なため、人への直接的な危険はほとんどありません。ただし、釣り上げられた際などに噛み付こうとする激しい反応を見せることがあり、取り扱いには注意が必要です。
「アブラ」という名の通り、肝臓に豊富な肝油を含んでおり、かつては肝油目的で漁獲されていました。現在は商業的な価値は低いですが、底引き網漁などで混獲されることがあり、資源への影響が懸念されています。
トリビア
- 名前の由来：「江戸」の由来は諸説ありますが、東京湾（かつての江戸前の海）でよく獲れたから、あるいは肝油（油）が多いからと言われています。
- 7つのエラ：「セブンギルシャーク（7つのエラ）」と呼ばれるサメは世界に数種しかおらず、非常に原始的な特徴です。
- カグラザメとの違い：カグラザメはずんぐりして巨大（4m超）でエラが6対ですが、エドアブラザメは細身で小型（1m強）でエラが7対です。
まとめ
エドアブラザメは、7対のエラと大きな目を持つ、小型でスリムな深海ザメです。カグラザメとよく似ていますが、エラの数や大きさで区別できます。日本の深海にも生息する、古代の姿を残した生きた化石のひとつです。
FAQ（よくある質問）
Q1. エドアブラザメは人を襲いますか？
基本的には深海性で小型なため、人を襲うことはありません。ただし気性は荒く、釣り上げられた際などに噛まれる危険はあります。
Q2. カグラザメとの違いは？
最大の違いはエラの数です。カグラザメは6対、エドアブラザメは7対あります。また、エドアブラザメの方が小型でスリムです。
Q3. どのくらい大きくなりますか？
平均で1.0〜1.2m、最大でも1.4m程度です。巨大になるカグラザメとは対照的です。
Q4. どこで見られますか？
世界中の温帯〜熱帯の深海（水深300m以深）に生息しています。日本近海でも底引き網などで見つかることがあります。