オロシザメ(Prickly Shark)

深海のサメ

オロシザメ(Prickly Shark)図鑑

その肌はまるで「大根おろし器」。全身が鋭いトゲ(皮歯)で覆われた、奇妙な姿の深海ザメです。

基本情報

和名 オロシザメ(卸鮫)
英名 Prickly Shark
学名 Echinorhinus cookei
分類 キクザメ目 キクザメ科 オロシザメ属
体長 2.0〜3.0m(最大4mの記録もあり)
生息域 大陸棚斜面〜海底谷の深海(水深100〜650m)
分布 太平洋の熱帯〜温帯域(日本、台湾、ハワイ、カリフォルニア、ペルーなど)
IUCNレッドリスト データ不足(DD)
危険度 ★★☆☆☆(2:トゲで怪我をする恐れあり)

形態:大根おろしのような肌

オロシザメの最大の特徴は、その皮膚にあります。

  • 皮歯(トゲ):体表には数ミリ〜数センチの大きさの鋭い棘(皮歯)が密生しています。このザラザラ、トゲトゲした質感が「大根おろし器(卸し金)」に例えられ、和名の由来となりました。
  • キクザメとの違い:近縁種の「キクザメ」はトゲがもっと大きく、まばらに生えていますが、オロシザメのトゲは細かく、びっしりと生えています。
  • ヒレ:2つの背びれは体のかなり後ろの方(尾に近い位置)についており、臀びれ(尻びれ)はありません。

生態

静かなる捕食者

動きはゆっくりとしており、海底付近を遊泳します。 タコやイカ、底生魚、時には若いサメ(アブラツノザメなど)を捕食します。口を素早く開けて獲物を吸い込むようにして捕らえます。

生息環境

水深数百メートルの深海に生息していますが、カリブ海やカリフォルニアのモントレー湾など一部の地域では、夜間にダイバーが潜れる程度の浅場まで上がってくることが知られています。

繁殖

胎生(卵食型ではない)。一度に数匹〜100匹以上の仔サメを産むと推測されていますが、詳しい繁殖生態はよく分かっていません。

人との関わり・危険性

性格はおとなしく、人を襲うことはありません。しかし、体に無数の鋭いトゲがあるため、うかつに触れたり、網にかかった個体を扱ったりすると擦り傷を負う危険があります。

商業的な価値はほとんどなく、底引き網などで混獲される程度です。個体数は多くないと見られていますが、深海性のため詳細は不明です。

トリビア

  • 英名の意味:英名「Prickly Shark」は「トゲだらけのサメ」という意味です。
  • 分類の変遷:かつてはツノザメ目に分類されていましたが、現在は独自の「キクザメ目」として扱われることが多いです。

まとめ

オロシザメは、全身が「おろし金」のようなトゲで覆われた、ユニークな深海ザメです。その奇妙な見た目とは裏腹に、深海で静かに暮らすハンターであり、サメの多様な進化の形を示しています。

FAQ(よくある質問)

なぜ「オロシザメ」という名前なのですか?

体表の鋭いトゲ(皮歯)が密集しており、大根おろし器(卸し金)のように見えるためです。

触ると痛いですか?

はい。トゲは鋭く硬いため、触ると怪我をする恐れがあります。取り扱いには手袋が必要です。

どこで見られますか?

太平洋の深海に生息しています。日本では相模湾や駿河湾、土佐湾などで記録があります。水族館での展示は稀です。

参考文献・出典

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