オンデンザメ(Pacific Sleeper Shark)

深海のサメ

オンデンザメ(Pacific Sleeper Shark)図鑑

日本近海の深海に潜む、体長4m超の巨大ザメ。動きが遅く「眠っている」ように見えることから、英名では「スリーパー・シャーク」と呼ばれます。

基本情報

和名 オンデンザメ(隠田鮫)
英名 Pacific Sleeper Shark
学名 Somniosus pacificus
分類 ツノザメ目 オンデンザメ科 オンデンザメ属
体長 平均 3〜4.4m(最大7mに達する説もある)
体重 大型個体は 1トン近くになる
生息域 大陸棚斜面〜深海の底層(水深200〜2000m)
分布 北太平洋全域(日本、ベーリング海、アラスカ、カリフォルニア、メキシコなど)
IUCNレッドリスト 準絶滅危惧(NT)
危険度 ★☆☆☆☆(1:深海性で遭遇せず、攻撃性も低い)

形態

オンデンザメは、深海に適応したずんぐりとした巨体が特徴です。

  • 体色:全体的に黒っぽい灰色〜暗褐色で、深海の闇に溶け込みます。
  • 肌:「鮫肌」のザラザラ感が強く、和名「オンデン(隠田=凸凹した畑)」の由来になったとも言われます。
  • ニシオンデンザメとの違い:北大西洋に住むニシオンデンザメと非常によく似ていますが、オンデンザメは吻(鼻先)がわずかに短く、また生息域が「北太平洋」であることで区別されます。

生態

行動:静かなる巨人

英名「Sleeper Shark(眠るサメ)」の通り、非常にゆっくりと泳ぎます。代謝を極限まで下げてエネルギーを節約し、冷たい深海で巨体を維持しています。

食性:深海の掃除屋

動きは遅いですが、食欲は旺盛です。 海底に沈んだクジラの死骸などを食べるスカベンジャー(腐肉食)としての役割が大きいですが、生きたミズダコや深海魚、イカなどを捕食することもあります。素早い獲物をどうやって捕まえるのかは、まだ謎に包まれています。

生息環境

冷たい水を好み、北の海では比較的浅い場所にも現れますが、日本(本州以南)では駿河湾や相模湾などの深い海溝(水深数百メートル以深)に潜んでいます。

人との関わり・危険性

深海に生息するため、人が泳いでいて襲われることはまずありません。性格もおとなしいとされています。

深海漁業(底引き網や延縄)で混獲されることがありますが、肉には微量の毒素(尿素などが分解されたもの)が含まれる場合があり、食用としての価値は低いとされています(ニシオンデンザメ同様、適切に処理すれば食べられる可能性はありますが、一般的ではありません)。肝臓からは良質なスクアレン(肝油)が取れるため、かつては漁獲対象となっていました。

トリビア

  • 巨大化する深海ザメ:最大で7mに達するという説もあり、もし本当ならホホジロザメを超える世界最大級の捕食性サメの一つになります。
  • 日本の水族館:飼育が非常に難しく、生きた姿が見られることは稀です。過去に沼津港深海水族館などで短期間展示された例があります。

まとめ

オンデンザメは、日本近海を含む北太平洋の深海を支配する巨大なサメです。動きは遅いものの、どんなものでも食べる貪欲さと、過酷な環境を生き抜くタフさを持っています。その生態にはまだ謎が多く、深海のロマンを象徴する存在です。

FAQ(よくある質問)

オンデンザメはどこで見られますか?

北太平洋の深海に生息しています。日本では駿河湾や相模湾の深海漁などで稀に捕獲されます。

ニシオンデンザメとの違いは?

見た目はそっくりですが、生息地が違います。オンデンザメは「太平洋」、ニシオンデンザメは「大西洋」です。

どれくらい大きくなりますか?

通常は3〜4mですが、最大で7mに達するという報告もあり、深海ザメとしては最大級です。

人を襲いますか?

いいえ。深海に住んでおり動きも遅いため、人を襲うことはありません。

参考文献・出典

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