ニシジャカラスザメ（Southern Lanternshark）図鑑
南半球の深海に潜む、発光するサメ。カラスザメの仲間としては大型で、お腹を青白く光らせて身を隠します。
基本情報
| 和名 | ニシジャカラスザメ |
|---|---|
| 英名 | Southern Lanternshark |
| 学名 | Etmopterus granulosus |
| 分類 | ツノザメ目 カラスザメ科 カラスザメ属 |
| 体長 | 60〜80cm（最大85cm程度） |
| 生息域 | 大陸棚斜面の深海（水深220〜1500m） |
| 分布 | 南半球の温帯海域（オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、南米南部など） |
| IUCNレッドリスト | 低懸念（LC） |
| 危険度 | ★☆☆☆☆（1：背びれの棘に注意） |
形態：大型のランタンシャーク
「カラスザメ（Lanternshark）」の仲間は小型種が多いですが、ニシジャカラスザメはその中では大型になる種類です。
- 体色：全身が暗褐色〜黒色で、深海の闇に溶け込みます。
- 発光：腹部には黒いマーキングがあり、そこに密集した発光器が青白く光ります。
- 皮膚：学名（granulosus＝粒状の）の通り、ザラザラとした顆粒状の皮歯（サメ肌）が特徴です。
- 棘：2つの背びれの前には、鋭く曲がった棘が生えています。
生態
カウンターイルミネーション
腹部を発光させることで、海面からの光に自分の影を同化させ、下から見上げる捕食者から姿を隠す「カウンターイルミネーション」を行います。
食性
深海のイカやタコ、魚類（ハダカイワシなど）、エビなどの甲殻類を捕食します。群れを作って狩りをすることもあります。
繁殖
胎生（卵黄依存型）。一度に10〜15匹程度の仔サメを産みます。出生時のサイズは約18cmです。
人との関わり・危険性
深海性でおとなしいため、人を襲うことはありません。ただし、背びれの棘は鋭く、取り扱い時に怪我をする恐れがあります。
底引き網漁などで混獲されることが多く、地域によっては干物や魚粉として利用されることもありますが、商業的価値は高くありません。南半球の深海における主要な捕食者の一つとして、生態系の中で重要な役割を果たしています。
トリビア
- 名前の由来：和名の「ニシ（西）」は、日本から見て西側（というよりは遠方や西洋）に分布することに由来すると考えられますが、実際には南半球に広く分布しています。
- 英名の由来：「Southern（南の）Lanternshark（ランタンザメ＝光るサメ）」という名の通り、南半球を代表する発光サメです。
まとめ
ニシジャカラスザメは、南半球の深海を照らす「生きたランタン」です。カラスザメの仲間としては体が大きく、ザラザラした肌と発光能力を武器に、暗黒の世界で生きています。
関連
FAQ（よくある質問）
どこで見られますか？
オーストラリア、ニュージーランド、チリなど、南半球の深海に生息しています。日本の海にはいません。
光る理由は？
自分の影を消して敵から見つかりにくくする「カウンターイルミネーション」のためです。
食べられますか？
一部の地域で利用されることはありますが、一般的ではありません。