ブロードノーズキャットシャーク(Broadnose Catshark)図鑑
「広い鼻(ブロードノーズ)」の名を持つ深海ザメ。北太平洋の深海にひっそりと暮らす、地味ながらも生態系を支える重要な存在です。
基本情報
| 和名 | ブロードノーズキャットシャーク(和名未定) |
|---|---|
| 英名 | Broadnose Catshark |
| 学名 | Apristurus brunneus |
| 分類 | メジロザメ目 ヘラザメ科 ヘラザメ属 |
| 体長 | 0.6〜0.8m |
| 体重 | 1〜2kg |
| 生息域 | 大陸斜面の深海(水深100〜1000m) |
| 分布 | 北太平洋東部(カナダ〜アメリカ西海岸、特にカリフォルニア沖) |
| IUCNレッドリスト | 低危険(LC) |
| 危険度 | ★☆☆☆☆(1:人への危険性はほとんどない) |
形態
ブロードノーズキャットシャークは、ヘラザメ属(Apristurus)に属する小型〜中型の深海サメです。
- 体色:全体に暗褐色〜黒褐色で、深海での底生生活に適応した地味な外見をしています。
- 吻(口先):名前のとおり吻が広めで丸みを帯びており、他の細長いヘラザメ属と区別されます。
- 皮膚:体表はややざらつきがあり、背びれは小さく尾びれも短めです。
生態
生活環境
大陸斜面の深海域(水深100〜1000m)に生息。特に200〜500mの範囲で多く見られることがあります。
食性
底生性で、主に小型の甲殻類(エビやカニの幼生など)、多毛類、小魚などを捕食します。
繁殖
卵生です。大きな卵鞘を産み付けます。卵鞘は「マーメイド・パース(人魚の財布)」と呼ばれる袋状の形で、海底に固定され、数か月を経てふ化します。
行動
特に群れをつくらず、単独で行動することが多いと考えられています。
人との関わり・危険性
ブロードノーズキャットシャークは人間の生活圏とは遠く離れた深海に生息しており、危険性はありません。
漁業対象にもならず、混獲されることはありますが、利用されることはほとんどありません。そのため、IUCNでは「低危険(LC)」に分類されています。
トリビア
- 属の特徴:ブロードノーズキャットシャークは「ヘラザメ属(Apristurus)」に属し、この属は非常に種類が多く、30種以上が知られています。多くは深海性で、研究が進んでいないサメです。
- 別名:英語圏では、姿が地味で深海に潜むことから “ghost catshark” と呼ばれることもあります。
- 研究対象:深海生態系の食物網における中型捕食者として、研究者の関心を集めています。
まとめ
ブロードノーズキャットシャークは、北太平洋東部の深海に生息する小型サメで、丸みのある吻と暗褐色の体が特徴です。生態の多くはまだ不明ですが、深海の底生環境に適応し、食物網の一角を担う重要な存在といえます。
FAQ(よくある質問)
Q1. ブロードノーズキャットシャークは人を襲いますか?
いいえ。小型で深海に生息しており、人に危険性はまったくありません。
Q2. どのくらいの深さに生息していますか?
主に水深100〜1000mに分布し、とくに200〜500m付近で多く見られます。
Q3. どのように繁殖しますか?
卵生で、海底に卵鞘を産み付けます。ふ化には数か月かかります。
Q4. ノコギリザメや他の小型深海サメとどう違いますか?
ブロードノーズキャットシャークはヘラザメ属に属し、吻が広めで丸いのが特徴です。ノコギリザメのような長い吻は持っていません。
Q5. 絶滅の心配はありますか?
IUCNでは「低危険(LC)」に指定されており、現時点では絶滅のリスクは低いとされています。