ヘラツノザメ

Etmopterus princeps 深海のサメ / 現生のサメ

ヘラツノザメの画像

ヘラツノザメ(Great Lanternshark)図鑑

北大西洋の深海に潜む、発光するサメ。体表の「フォトフォア」で青白く光り、闇に紛れる深海のハンターです。

基本情報

和名 ヘラツノザメ
英名 Great Lanternshark
学名 Etmopterus princeps
分類 ツノザメ目 カラスザメ科 カラスザメ属
体長 0.8〜1.0m
体重 1〜2kg
生息域 大陸斜面の深海(水深400〜1500m)
分布 北大西洋を中心に確認される(ノルウェー沖、アイスランド、ポルトガル周辺など)
IUCNレッドリスト 低危険(LC)
危険度 ★☆☆☆☆(1:人に対して危険はほとんどない)

形態

ヘラツノザメはカラスザメ科カラスザメ属(Etmopterus)に属する深海ザメの一種です。体は細身でやや小型ながら、属の中では比較的大きめの種類です。

  • 発光器:体表には小さな発光器(フォトフォア)が多数あり、暗い深海で青白い光を放つことができます。
  • 体色:背は黒褐色〜暗灰色で、腹はやや淡く、体側や腹側に発光ラインが見られることがあります。

生態

生活環境

水深400〜1500mの大陸斜面に多く生息し、群れで行動することもあると考えられています。

食性

小型魚類、イカやタコなどの頭足類、エビなどの甲殻類を捕食します。

行動:光るカモフラージュ

発光器を利用して、海面からのわずかな光に自分の影を溶け込ませ、下方にいる捕食者から身を守る「カウンターイルミネーション(逆カウンターシェーディング)」を行うと考えられています。また、仲間同士の識別にも利用している可能性があります。

繁殖

胎生で、仔ザメは数匹単位で産まれると推測されています。

人との関わり・危険性

ヘラツノザメは深海に生息するため人との遭遇はほぼなく、危険性はありません。

商業的に重要な漁獲対象ではありませんが、底引き網や深場延縄漁で混獲されることがあります。採集例は少なく、詳細な生態は未解明な部分が多いです。

トリビア

  • 名前の由来:「ヘラツノザメ」の「ヘラ」は、吻(鼻先)がやや平たくヘラのように見えることから付けられたといわれます。
  • 英名:「Great Lanternshark(偉大なランタンザメ)」という名は、カラスザメ属(Lanternsharks)の中では大型であることに由来します。

まとめ

ヘラツノザメは、北大西洋の深海にひっそりと生息する発光性のサメです。人に危険はなく、観察例も少ないため、生態の多くがまだ謎に包まれています。小型ながらも深海環境に適応し、光を操る独特の姿は、サメの多様性を示す一例といえるでしょう。

FAQ(よくある質問)

Q1. ヘラツノザメはどこで見られますか?

主に北大西洋で記録されており、ノルウェー沖やアイスランド周辺、ポルトガル近海などで確認されています。

Q2. 人に危険はありますか?

ありません。体長1m前後の小型サメであり、深海に生息するため人と接触する機会はほぼありません。

Q3. どのくらいの深さに生息していますか?

およそ水深400〜1500mの大陸斜面に多く分布します。

Q4. なぜ光るのですか?

体表の発光器により、下から見たときに海中光に溶け込む「カウンターイルミネーション」を行い、外敵から身を守っていると考えられています。

Q5. 絶滅の心配はありますか?

IUCNでは「低危険(LC)」とされています。現在は資源状態に大きな懸念はないものの、混獲の影響には注意が必要です。

参考文献・出典

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