基本情報
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和名:アイザメ
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英名:Portuguese Dogfish
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学名:Centroscymnus coelolepis
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体長:0.9〜1.2m(最大1.3mの記録もある)
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体重:3〜5kg
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生息域:大陸棚外縁〜斜面の深海(水深400〜3600m)
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分布:世界中の深海に広く分布(大西洋・インド洋・太平洋など)
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IUCNレッドリスト:準絶滅危惧(NT)> 2018年の評価で、「危急(VU)」
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危険度:★☆☆☆☆(1:人に危険性はほとんどない)
形態
アイザメはユメザメ科に属する深海性の小型サメです。体は暗褐色〜黒色で、皮膚は粗くザラザラとした感触を持っています。体型はずんぐりとしており、尾びれはやや短め。発光器は持たず、他の発光性ユメザメ類とは区別されます。
その外見は目立たず地味ですが、深海の厳しい環境に適応した「典型的な深海ザメ」の姿を示しています。
生態
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生息環境:主に水深400〜2000mの深海に生息し、最深で3600m近くでも確認されています。
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代謝:深海に適応しており、代謝は非常に低く、長時間あまり動かずに過ごすことが多いと考えられます。
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食性:深海魚やイカ類、甲殻類を捕食。機会があれば死骸を食べることもあります。
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繁殖:胎生で、1度に数匹の仔を産みます。詳細は不明ですが、他のユメザメ科同様に少産であると考えられています。
人との関わり・危険性
アイザメは深海に生息するため人間と接触することはほとんどなく、危険性はありません。ただし、深場延縄漁などで混獲されることがあり、肉や肝油(スクアレン)が利用される場合があります。
しかし、漁業圧の増加や生態的な特性(成長が遅く、繁殖力が低い)により、資源の減少が懸念され、IUCNでは準絶滅危惧(NT)に指定されています。
トリビア
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名前の由来:学名に「coelolepis(中空の鱗)」とあるように、鱗の構造に特徴があります。
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深海研究での重要性:漁獲で得られる個体は深海魚研究の対象となり、深海環境に適応した生理機能の理解に役立っています。
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混獲されるサメ:深場延縄漁でマグロやメルルーサを狙う際にしばしば混獲されます。
まとめ
アイザメは、地味な外見ながら世界中の深海に広く分布するユメザメ科のサメです。人には危険性がありませんが、深海漁業での混獲が資源に影響を与えており、保護の必要性が指摘されています。深海生態系を理解する上で欠かせないサメのひとつといえるでしょう。
FAQ(よくある質問)
Q1. アイザメは人を襲いますか?
A. いいえ。深海に生息しており、人を襲うことはありません。
Q2. どのくらいの深さに生息していますか?
A. 主に水深400〜2000mに多く見られ、最大で3600mの深さでも確認されています。
Q3. アイザメはどのくらい大きくなりますか?
A. 体長は0.9〜1.2mほどで、サメとしては比較的小型です。
Q4. どうして準絶滅危惧に指定されているのですか?
A. 成長が遅く、繁殖力も低いため、深場漁業での混獲の影響を受けやすく、資源の減少が懸念されています。
Q5. 食用にされることはありますか?
A. 一部では肉や肝油(スクアレン)が利用されますが、一般的に食卓に並ぶことはほとんどありません。
参考文献・出典
- IUCN Red List of Threatened Species https://www.iucnredlist.org/
- FishBase https://www.fishbase.se/
- FAO Fisheries & Aquaculture http://www.fao.org/fishery/