サガミザメ(Sagami Shark)

深海のサメ

サガミザメ(Sagami Shark)図鑑

日本の「相模湾」の名を冠する深海ザメ。現在は「ホソフジクジラ」と呼ばれることが多いですが、日本における深海サメ研究の歴史を物語る重要な名前です。

基本情報

和名サガミザメ(相模鮫)/ ホソフジクジラ
英名Rough longnose dogfish
学名Deania hystricosa
分類ツノザメ目 カラスザメ科 カラスザメ属
体長50〜70cm
生息域大陸棚斜面の深海(水深100〜1000m)
分布世界中の温帯〜熱帯の深海(日本、オーストラリア、大西洋など)
IUCNレッドリスト低懸念(LC)
危険度★☆☆☆☆(1:小型で危険はない)

サガミザメ(ホソフジクジラ)が見れる水族館

サガミザメは深海性のため、生体での常設展示は非常に稀です。しかし、日本有数の深海生物展示を誇る以下の施設で会える可能性があります。

  • 沼津港深海水族館(静岡):駿河湾に面した立地から、稀に底引き網で捕獲された個体が生体、あるいは標本で展示されることがあります。
  • アクアワールド茨城県大洗水族館:サメの飼育種類数日本一として、深海サメの企画展などで標本や冷凍展示が行われる実績があります。
  • 新江ノ島水族館(神奈川):名前の由来となった「相模湾」の生物を専門的に扱っており、標本展示やタッチプール周辺の解説で見ることができます。

※生体展示は非常に貴重です。お出かけ前に公式サイトでの確認をおすすめします。

形態:光る体とツノ

サガミザメ(ホソフジクジラ)は、カラスザメの仲間に典型的な、黒くて小型の深海ザメです。

  • 発光器:腹側には無数の微小な発光器があり、深海で青白く光ります。これは「カウンターイルミネーション」と呼ばれ、海面からの光に紛れて自分の影を消すカモフラージュです。
  • 棘(ツノ):2つの背びれの前には、鋭い棘が生えています。
  • 皮膚:英名「Blurry(ぼやけた)」の通り、他のカラスザメ類に比べて鱗(皮歯)が滑らかで、見た目が少しツルッとして見えるのが特徴です。

【深掘り】深海のステルス技術「光の影消し」

サガミザメのお腹が光る理由は、獲物を探すためではありません。深海で下から見上げた際、海面からわずかに届く光に自分のシルエット(影)が紛れるよう、自ら光を放つのです。これにより、真下にいる捕食者から姿を見えなくする、究極のステルス機能といえます。

生態

名前の由来と分類

このサメは、かつて日本の相模湾で採集された個体をもとに「サガミザメ」という和名が提唱されました。 しかしその後の研究で、世界的に分布する「ホソフジクジラ(Etmopterus bigelowi)」と同じ種類であることが分かり、現在ではホソフジクジラの別名(シノニム)として扱われることが一般的です。 しかし、相模湾が深海ザメの宝庫であることを示す、象徴的な名前として今も親しまれています。

食性

深海のイカやタコ、ハダカイワシなどの小型魚類、エビなどを捕食します。 大きな肝臓に油を蓄えて浮力を得ており、海底付近だけでなく中層も泳ぎ回って獲物を探します。

繁殖

胎生(卵黄依存型)。一度に数匹〜十数匹の仔サメを産みます。生まれた直後から発光器を持っており、光ることができます。

人との関わり・危険性

深海性で小型なため、人に危害を加えることはありません。 底引き網漁などで混獲されることがありますが、商業的な価値は低く、利用されることはほとんどありません。

日本の水族館(沼津港深海水族館やアクアワールド大洗など)では、深海生物の企画展などで、標本や稀に生体が展示されることがあります。

トリビア

  • 相模湾の深海:サガミザメの名前の由来となった相模湾は、急激に深くなる地形のため、浅い場所から深海生物が見つかる世界的に珍しい海域です。ミツクリザメやラブカもここで発見されています。

まとめ

サガミザメは、日本の地名を持つ深海ザメです。現在はホソフジクジラと呼ばれることが多いですが、その名前は日本の深海研究の歴史を今に伝えています。お腹を光らせて深海を泳ぐ、小さなハンターです。

FAQ(よくある質問)

ホホフジクジラと同じですか?

はい。現在は同種(Etmopterus bigelowi)とされています。「サガミザメ」は古い和名や別名として扱われることが多いです。

どこで見られますか?

世界中の深海にいますが、日本では相模湾や駿河湾などの深海漁で混獲されることがあります。

光るのですか?

はい。腹部に発光器を持っており、深海で青白く光ります。

参考文献・出典

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