シロカグラ（Bigeye Sixgill Shark）図鑑
「6対のエラ」と「大きな目」を持つ深海ザメ。大型のカグラザメによく似ていますが、こちらは小型で目が大きいのが特徴です。
基本情報
| 和名 | シロカグラ |
|---|---|
| 英名 | Bigeye Sixgill Shark |
| 学名 | Hexanchus nakamurai |
| 分類 | カグラザメ目 カグラザメ科 カグラザメ属 |
| 体長 | 1.5〜1.8m（カグラザメより小型） |
| 体重 | 20〜30kg |
| 生息域 | 大陸棚や島棚の斜面の深場（水深90〜600m）。夜間には浅い層に浮上することもある。 |
| 分布 | 主にインド洋〜西太平洋。（※かつて同一視されていた大西洋の個体群は別種 Hexanchus vitulus として再分類） |
| IUCNレッドリスト | データ不足（DD） |
| 危険度 | ★★☆☆☆（2：小型だが不用意な接近は注意） |
形態
シロカグラはカグラザメ科に属するサメで、名前のとおり6対の鰓孔（普通のサメは5対）を持っている、原始的な特徴を残すサメです。
- 目：英名「Bigeye（大きな目）」の通り、深場の暗い環境に適応した非常に大きな目を持っています。
- 背ビレ：1基のみで、体の後方（腹ビレの後ろ）に位置します。
- 尾：上尾葉が長く、全体に原始的な体型を残しており、化石のサメに近い姿をしています。
生態
活動パターン
夜行性の傾向が強く、日中は深場に潜み、夜間に中層〜浅層に移動して活動します。
食性
小型〜中型の硬骨魚や甲殻類を捕食します。サメやエイなど他の軟骨魚類を襲うこともあると考えられています。
繁殖
胎生（卵胎生）ですが、詳細はほとんど分かっていません。近縁種のカグラザメは多産（数十匹〜100匹近く）ですが、シロカグラの産仔数は13〜26匹程度と報告されています。
人との関わり・危険性
人間が潜る水深よりも深い場所に多いため、接触の機会は非常に少ないサメです。攻撃的な性格ではなく、人への直接的な危険性は低いとされます。ただし、歯は鋭いため、釣り上げられた際などの取り扱いには注意が必要です。
漁業では延縄などで混獲されることがあり、肉や肝油が利用されることもあります。しかし、資源状態や生態に関する研究はまだ十分ではなく、IUCNレッドリストでは「データ不足（DD）」と評価されています。
トリビア
- カグラザメとの違い：シロカグラは最大1.8mほどの小型種で、目が大きいです。一方、近縁種のカグラザメ（Bluntnose Sixgill Shark）は最大5mにもなる大型種で、頭部がより幅広です。
- 再分類の歴史：2018〜2019年の研究により、これまでシロカグラとされていた大西洋の個体群は、遺伝的に異なる別種 Hexanchus vitulus（アトランティック・シックスギルシャーク）として再分類されました。
まとめ
シロカグラは、6対のエラと大きな目を持つ、原始的な姿の深海ザメです。カグラザメの小型版のような見た目ですが、目が大きく愛嬌があります。生態の多くはまだ謎に包まれていますが、分類の見直しが進むなど、研究者の注目を集めているサメです。
FAQ（よくある質問）
Q1. シロカグラは人を襲いますか？
人の潜る水深にはあまり出現せず、攻撃性も高くないため、人を襲うことはほとんどありません。
Q2. どのくらいの深さに生息していますか？
通常は水深90〜600mに生息しますが、夜間にはより浅い層に浮上して活動することもあります。
Q3. シロカグラとカグラザメの違いは？
シロカグラは比較的小型（1.5〜1.8m）で、大きな目を持ちます。カグラザメは最大5mに達する大型種で、頭が幅広です。
Q4. 大西洋にも分布しますか？
以前は分布するとされていましたが、現在は大西洋の個体群は別種 Hexanchus vitulus として分類されています。
Q5. 絶滅の心配はありますか？
IUCNでは「データ不足（DD）」に指定されており、資源状況は不明です。ただし漁業による混獲の影響は懸念されています。