ヨロイザメ（Kitefin Shark）図鑑

真っ黒な体と分厚い唇が特徴の深海ザメ。肝油が豊富なことから漁業の対象とされてきましたが、近年「自ら光る」ことが確認され、世界を驚かせました。

基本情報

和名	ヨロイザメ（鎧鮫）
英名	Kitefin Shark
学名	Dalatias licha
分類	ツノザメ目ヨロイザメ科ヨロイザメ属
体長	1.0〜1.4m（最大1.8m程度）
体重	8〜15kg
生息域	大陸棚斜面〜深海の底層（水深200〜1800m、特に400m以深に多い）
分布	世界中の温帯〜熱帯の深海（日本近海、大西洋、インド洋など広く分布）
IUCNレッドリスト	危急（VU）
危険度	★★☆☆☆（2：深海性だが噛まれると危険）

ヨロイザメは、ずんぐりとした円筒形の体を持つ中型の深海ザメです。

海底付近をゆっくり泳ぎながら、深海魚、イカ・タコ、甲殻類などを捕食します。また、自分より大きなサメや魚の肉をかじり取ったり、海底に沈んだ死骸を食べることもあります。動きは遅いですが、不意打ちで獲物を襲うと考えられています。

深海ザメの特徴である巨大な肝臓を持っており、体重の約20%以上を占めることもあります。肝臓にはスクアレン（肝油）がたっぷり含まれており、浮き袋の代わりに浮力を生み出しています。

胎生（卵食型）。一度に10〜16匹の仔サメを産みます。出生時のサイズは約30cmです。

深海性のため、遊泳中の人が襲われることはありません。しかし、強力な顎と鋭い歯を持っているため、漁獲された個体を扱う際には噛まれないよう注意が必要です。

かつては、肝臓に含まれるスクアレンを目的に、日本（駿河湾など）やポルトガルなどで盛んに漁獲されていました。現在は需要の低下や資源保護のため漁獲量は減っていますが、繁殖力が低いため、IUCNでは「危急（VU）」に指定され、資源の減少が懸念されています。

世界最大の発光脊椎動物：2021年の研究により、ヨロイザメが自身の体を発光させることが確認されました。最大1.8mになるため、これまで知られている中で「自ら光る背骨のある動物」としては世界最大級です。
ダルマザメの親戚：肉をえぐり取ることで有名なダルマザメと同じ「ヨロイザメ科」に属しており、歯の形状がよく似ています。

ヨロイザメは、黒い体と分厚い唇がトレードマークの深海ザメです。かつては肝油の原料として知られていましたが、現在は「光る巨大ザメ」として注目を集めています。深海の生態系のバランスを保つ重要な捕食者です。

ヨロイザメはどこで見られますか？

世界中の深海に生息しています。日本では駿河湾や相模湾などの深海漁で捕獲されることがあります。

本当に光るのですか？

はい。近年（2021年）の研究で、青白く発光することが科学的に確認されました。カウンターイルミネーション（影を消す）効果があると考えられています。

食べられますか？

肉は練り製品の原料になることがありますが、主には肝臓（肝油）が利用されてきました。