基本情報
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和名:シロシュモクザメ
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英名:Great Hammerhead
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学名:Sphyrna mokarran
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体長:3〜6m(最大で6.5mに達する記録もある)
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体重:250〜450kg(大型個体は500kgを超えることも)
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生息域:沿岸〜外洋の表層・中層(水深1〜80mを主に利用するが、深場に潜ることもある)
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分布:世界の熱帯〜亜熱帯海域(大西洋西部・インド洋・太平洋熱帯域など)
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IUCNレッドリスト:絶滅危惧(CR)
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危険度:★★★☆☆(3:潜在的な危険性はあるが、人への事故はまれ)
形態
シロシュモクザメはシュモクザメ科の中で最大種であり、幅広いT字型の頭部(シュモク)と非常に高くそびえる背鰭が特徴です。
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頭部の幅は体長の25〜30%に達し、広範囲の電気受容器で獲物を探知することができます。
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背ビレは三角形で非常に高く、遠くからでも識別できる特徴です。
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体色は背が灰褐色〜緑がかった色で、腹は白。
生態
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食性:エイ類を好んで捕食することで知られています。特にアカエイ類を狙い、頭部で押さえつけて噛みつく姿が観察されています。他にも魚類、イカ、甲殻類、小型サメなどを食べる雑食的な捕食者です。
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行動:単独行動が多く、沿岸から外洋まで広く回遊します。若い個体は浅瀬を利用することが多く、成体は外洋性の傾向が強いです。
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繁殖:胎生。妊娠期間は約11か月で、一度に6〜33匹の仔ザメを産みます。仔ザメは沿岸浅場で成長します。
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寿命:20〜30年程度と考えられています。
人との関わり・危険性
シロシュモクザメは世界中の熱帯・亜熱帯でダイバーに観察されるサメですが、大型で力が強いため接近時には注意が必要です。攻撃的な性質ではありませんが、サメ事故の報告には含まれることがあります。
しかし最大の脅威は人間側にあり、フカヒレ目的の漁獲(フィン取引)や混獲によって個体数が激減しています。特にその大きな背ビレはフカヒレ取引で高値がつき、乱獲の主因となっています。そのため IUCN では「絶滅危惧(CR)」に分類されています。
トリビア
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“ハンマー”頭の役割:頭部は電気受容器を広範囲に配置するのに役立ち、砂に隠れたエイを探すのに適しています。
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最大種の威容:シュモクザメ科の中で最も大きく、堂々とした姿からダイバーに人気があります。
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象徴的な背ビレ:シロシュモクザメの高い背ビレは遠くからでも目立ち、漁業者やダイバーの間で“目印”とされます。
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資源減少:過去数十年で個体数が80%以上減少した地域もあり、世界的な保護が急務です。
まとめ
シロシュモクザメは、独特の頭部と高い背ビレを持つシュモクザメ最大種であり、エイを好んで捕食する外洋性の捕食者です。人に対する危険性は中程度ですが、漁業による乱獲とフカヒレ取引の影響で数を大きく減らしており、絶滅危惧種に指定されています。美しいシルエットと独特の生態は、サメ保全の象徴的存在ともいえます。
FAQ(よくある質問)
Q1. シロシュモクザメは人を襲いますか?
A. 人に積極的に襲いかかることはほとんどありませんが、大型で力が強いため接近には注意が必要です。
Q2. どのくらい大きくなりますか?
A. 平均で3〜4m、大型個体は6mを超えることもあります。
Q3. どこで観察できますか?
A. 世界の熱帯〜亜熱帯の沿岸や外洋で見られます。特にバハマやモルディブ、オーストラリア北部は有名な観察地です。
Q4. なぜ絶滅危惧(CR)に指定されているのですか?
A. フィン取引を目的とした乱獲や混獲によって個体数が激減しており、資源保護が急務とされているためです。
Q5. シュモクザメ類の中で最大なのですか?
A. はい。シロシュモクザメはシュモクザメ科で最大種であり、他のシュモクザメ類よりも一回り大きく成長します。
参考文献・出典
- IUCN Red List of Threatened Species https://www.iucnredlist.org/
- FishBase https://www.fishbase.se/
- FAO Fisheries & Aquaculture http://www.fao.org/fishery/