ホウライザメ(Spot-tail Shark)図鑑
日本の沖縄から東南アジア、オーストラリアにかけての暖かい海には、スマートな体型のサメがたくさん泳いでいます。 その中でも特によく見かけられるのが**ホウライザメ**です。 英名で「Spot-tail(尾に斑点のある)Shark」と呼ばれる通り、尾びれの下側に特徴的な黒いワンポイント模様を持っています。 ダイバーだけでなく、アジアの魚市場でもよく見かける、南の海を代表する「身近なサメ」を紹介します。
基本情報
| 和名 | ホウライザメ(蓬莱鮫) |
|---|---|
| 英名 | Spot-tail Shark |
| 学名 | Carcharhinus sorrah |
| 分類 | メジロザメ目 メジロザメ科 メジロザメ属 |
| 体長 | 平均 1.0〜1.2m(最大約1.6m) |
| 生息域 | 沿岸から大陸棚の浅い海(水深0〜140m) |
| 分布 | インド太平洋の熱帯域(東南アジア、オーストラリア、インド、紅海。日本では琉球列島) |
| IUCNレッドリスト | 近危急(NT) |
| 危険度 | ★★☆☆☆(2:中型で歯が鋭いため注意) |
形態:目印は「尾の黒い斑点」
英名の由来「スポット・テール」
ホウライザメを見分ける最大の特徴は、英名(Spot-tail Shark)の由来にもなっている**「尾びれの下側(下葉)にある黒い斑点」**です。 尾びれ全体が黒いわけではなく、先端部分がくっきりと黒く染まっています。 また、**「第二背びれ(後ろの背びれ)」**と**「胸びれ」**の先端も黒くなっているのが特徴で、この3点の黒いマークが識別ポイントになります。
ツマグロとの違い
同じ海域には、ヒレ先が黒い「ツマグロ」もいますが、見分け方は簡単です。 ツマグロは「第一背びれ(前の大きな背びれ)」の先端が真っ黒ですが、ホウライザメの第一背びれには黒い斑点がありません(あっても縁が薄く暗い程度)。 「前の背びれが黒くないならホウライザメ」と覚えると分かりやすいでしょう。
生態と動画
東南アジアの優占種
サンゴ礁の周りや砂地の浅瀬を好んで泳ぎます。 特に東南アジアやオーストラリア北部の海では個体数が非常に多く、この海域の捕食者ピラミッドの重要な位置を占めています。 昼間は海底付近にいることが多いですが、夜になると活発に動き回り、魚やイカ、タコなどを捕食します。
【動画】泳ぐホウライザメ
沖縄美ら海水族館の泳ぐホウライザメです。水族館での飼育はレアです。(動画元:ひら水族館チャンネル)
人との関わり
食用としての利用
日本ではあまり馴染みがありませんが、インドネシアやタイ、マレーシアなどの東南アジア諸国では、重要な水産資源となっています。 現地の魚市場に行くと、このホウライザメが食用として並べられているのをよく見かけます。肉は練り製品や切り身に、ヒレはフカヒレとして利用されます。 しかし、乱獲による個体数の減少も懸念されており、持続可能な漁業管理が求められています。
人への危険性
最大でも1.6メートル程度の中型サメであり、自ら人間に襲いかかってくることは稀です。 しかし、メジロザメの仲間らしく歯は鋭く、釣り上げられた際や、餌の匂いに興奮している時は噛まれる危険性があるため、不用意に近づくべきではありません。
よくある質問(FAQ)
Q: 日本でも見られますか?
A: はい、沖縄県(琉球列島)周辺の海域に生息しています。ダイビングなどで遭遇することもありますが、東南アジアほど個体数は多くありません。
Q: 名前の「蓬莱(ホウライ)」とは?
A: 「蓬莱」とは中国の伝説にある仙人が住む山のことで、転じて「台湾」などを指す言葉としても使われていました。台湾や南方から来たサメ、という意味合いで名付けられたと考えられます。
Q: 飼育できますか?
A: 回遊性のサメであり、常に泳ぎ続ける必要があるため、一般家庭での飼育は不可能です。大型の水槽を持つ水族館で展示されることがあります。
まとめ
ホウライザメは、尾びれのワンポイントがお洒落な、南の海のスタンダードなサメです。 東南アジアの海を潜ればダイバーとして、市場を歩けば食材として、彼らの姿を目にする機会は多いはずです。 そのスマートな姿は、熱帯の海の豊かさを象徴しています。