基本情報
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和名:ラブカ
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英名:Frilled Shark
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学名:Chlamydoselachus anguineus
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体長:1.5〜2.0m(最大で2m超の記録あり)
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体重:10〜15kg
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生息域:大陸斜面の深海(水深200〜1200m)
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分布:世界各地の深海に点在(日本沿岸、ノルウェー、ニュージーランド、アフリカ沖など)
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IUCNレッドリスト:準絶滅危惧(NT)
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危険度:★☆☆☆☆(1:人に危険を及ぼすことはほぼない)
形態
ラブカは「生きている化石」と呼ばれるほど、古代的な姿を残すサメです。
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特徴的なエラ:襟飾り(フリル)のように見える6対のエラ(鰓裂)があり、英名 Frilled Shark の由来となっています。
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体型:細長くウナギのように柔軟な体を持ち、全体に原始的な雰囲気を漂わせます。
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歯:細かい鋸のような形をした歯が300本以上並び、三叉の形をしており、一度噛みつかれると獲物が逃げにくくなります。
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吻:長く突き出ており、深海の暗闇で獲物を感知するのに役立ちます。
生態
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生息環境:深海の大陸斜面(水深200〜1200m)に生息。日本近海では相模湾や駿河湾が有名な記録地です。
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行動:活発に泳ぐよりも、体をくねらせてウナギのように滑るように動きます。岩陰や海底付近で待ち伏せし、獲物を襲うと考えられています。
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食性:主に深海イカを捕食。柔らかい体と鋭い歯で、大きな獲物を丸呑みにすることも可能です。深海魚や甲殻類を食べる例もあります。
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繁殖:胎生。妊娠期間は脊椎動物で最長クラスとされ、**約3年半(42か月)**と驚異的な長さです。1度に2〜15匹の仔を産みます。
人との関わり・危険性
ラブカは深海に生息するため、人間が遭遇する機会はほとんどありません。
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漁業:深海漁の混獲で捕獲されることがありますが、商業価値は低く一般流通はほとんどありません。
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危険性:人を襲うことはなく、危険性は極めて低いサメです。
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研究対象:珍しい外見と古代的特徴から、学術研究や水族館展示で注目されます。日本で捕獲された際にはニュースで取り上げられることも多いです。
トリビア
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「生きている化石」:約8000万年前からほとんど姿を変えていないとされます。
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ニュースで話題に:浅い場所に出現すると「深海の怪物」として世界的に報じられることがあります。
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名前の由来:「ラブカ」は「鰓(えら)の縁(ふち)」を意味し、特徴的なエラの形に由来します。
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超長期妊娠:3年半という妊娠期間は、深海の安定した環境でゆっくり成長させる戦略だと考えられています。
まとめ
ラブカは、深海にひっそりと生きる古代的なサメで、その姿は「深海の神秘」を象徴する存在です。人に危険はありませんが、漁業の混獲や環境変化の影響を受けやすいため、今後の研究や保護が望まれる種でもあります。
FAQ(よくある質問)
Q1. ラブカは人を襲いますか?
A. いいえ。深海に生息し、人との接触はほとんどなく、危険性は極めて低いです。
Q2. どこで見られるのですか?
A. 世界各地の深海に生息しており、日本では相模湾や駿河湾が有名な観察地です。
Q3. 何を食べますか?
A. 主に深海イカを捕食しますが、深海魚や甲殻類も食べます。
Q4. なぜ「生きている化石」と呼ばれるのですか?
A. 約8000万年前からほとんど進化していない古代的形態を持つためです。
Q5. 妊娠期間が本当に3年半もあるのですか?
A. はい。推定で最長3年半とされ、脊椎動物の中でも最長級の妊娠期間です。
参考文献・出典
- IUCN Red List of Threatened Species https://www.iucnredlist.org/
- FishBase https://www.fishbase.se/
- FAO Fisheries & Aquaculture http://www.fao.org/fishery/