イタチザメ

Galeocerdo cuvier 現生のサメ

イタチザメ(Tiger Shark)図鑑

縞模様の体と強靭な歯を持つ大型の頂点捕食者。危険度は高いが、海洋文化や観光の象徴としても知られる。

基本情報

和名 イタチザメ
英名 Tiger Shark
学名 Galeocerdo cuvier
分類 メジロザメ目 メジロザメ科 イタチザメ属
体長 3〜4.5m(最大で5mを超える個体も報告あり)
体重 400〜600kg(大型個体では1tに迫る例もある)
生息域 熱帯〜温帯の沿岸〜外洋(サンゴ礁、河口、外洋の表層〜中層)
分布 太平洋・大西洋・インド洋の広域に分布(ハワイ、オーストラリア、南アフリカ、カリブ海など)
IUCNレッドリスト 準絶滅危惧(NT)
危険度 ★★★★☆(4:攻撃性が高く人にとって危険)

形態

イタチザメは、その名の通り体側に現れる縞模様(タイガーストライプ)が特徴的です。幼魚では縞がくっきりとし、成長するとやや薄くなる傾向があります。

頭部は幅広く平たい形状で、鼻先は丸みを帯びています。歯は鋭い鋸歯状で、硬い甲殻や骨も噛み砕けるほど強靭です。

体型は頑丈でずんぐりとした印象を与え、外洋の大型捕食者らしい迫力を持ちます。

生態

食性

極めて雑食性の強い頂点捕食者。魚類、ウミガメ、海鳥、イルカ、小型クジラ、他のサメまで捕食します。さらにプラスチックや金属片など「食べ物ではない異物」を飲み込むことでも知られています。

行動

夜行性の傾向が強く、昼間は比較的おとなしく、夜間に活発に狩りを行います。広い回遊性を持ちながら、沿岸のサンゴ礁や河口にも頻繁に出現します。

繁殖

胎生。妊娠期間は約14〜16か月で、一度に10〜80匹という非常に多産な繁殖様式を持ちます。仔ザメは出生時に50〜90cmほど。

寿命

およそ20〜30年と推定されています。

人との関わり・危険性

イタチザメはホホジロザメオオメジロザメと並び「三大危険ザメ」とされ、人に対する襲撃事故の報告が多いサメです。サーファーや漁師が被害に遭った事例が世界各地で記録されています。

攻撃性は強いとされますが、多くの場合は「誤認」や「興味による噛みつき」が原因と考えられます。

一方で、ハワイやモルディブなどでは観光ダイビングの対象にもなり、その巨大で威圧感のある姿はダイバーに人気です。漁業による混獲やフカヒレ漁の対象にもなり、個体数は減少傾向にあります。そのため IUCN では「準絶滅危惧(NT)」に分類されています。

トリビア

  • 名前の由来:体側の縞模様が虎(タイガー)に似ていることから「Tiger Shark」と呼ばれる。
  • 胃の中身:自動車のナンバープレートやタイヤの破片など、人間が捨てた人工物まで飲み込んでいた例がある。
  • 多産性:一度の出産で最大80匹もの仔ザメを産むことがあるサメの中でも屈指の多産種。
  • 文化的存在:ハワイでは古くから神聖視され、神話や伝承にも登場する。

まとめ

イタチザメは、縞模様の体と強靭な歯を持つ大型サメで、雑食性の頂点捕食者です。人に対する危険性も高い一方で、海洋文化や観光の象徴ともなっています。繁殖力は高いですが、漁業や環境破壊の影響で数が減少しており、保護と管理が求められるサメです。

FAQ(よくある質問)

Q1. イタチザメは人を襲いますか?

はい。ホホジロザメ、オオメジロザメと並んで襲撃事故の多い危険なサメです。

Q2. どのくらい大きくなりますか?

平均3〜4.5mですが、最大で5mを超える個体も記録されています。体重は600kgを超える場合もあります。

Q3. どこで見られますか?

世界の熱帯〜温帯の海域に広く分布します。特にハワイ、オーストラリア、カリブ海などでよく観察されます。

Q4. 何を食べますか?

魚、ウミガメ、海鳥、海獣、他のサメなど幅広く捕食します。時には人工物も飲み込むことがあります。

Q5. 絶滅の心配はありますか?

IUCNでは「準絶滅危惧(NT)」に指定されています。乱獲や環境破壊により数が減少しているため、保護が求められています。

参考文献・出典

上部へスクロール