イヌザメ（Brownbanded Bamboo Shark）図鑑
浅いサンゴ礁や砂地に暮らす、おとなしい底生サメ。幼魚のくっきりした縞模様（バンド）が特徴で、成長とともに模様が変化します。
基本情報
| 和名 | イヌザメ（犬鮫） |
|---|---|
| 英名 | Brownbanded Bamboo Shark |
| 学名 | Chiloscyllium punctatum |
| 分類 | テンジクザメ目 テンジクザメ科 テンジクザメ属 |
| 体長 | 1〜1.2m |
| 体重 | 5〜7kg |
| 生息域 | 浅い礁湖、砂底、サンゴ礁付近（水深3〜80m程度） |
| 分布 | インド洋〜西太平洋（インド、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ニューギニア、日本南部など） |
| IUCNレッドリスト | 準絶滅危惧（NT） |
| 危険度 | ★☆☆☆☆（1：人への危険性はほとんどない） |
形態
イヌザメはテンジクザメ科に属する小型〜中型のサメです。最大の特徴は、成長に伴う模様の変化です。
- 幼魚：体全体に明瞭な濃い褐色の縞模様（バンド）があり、これが英名「Bamboo Shark（竹サメ）」の由来とも言われます。
- 成魚：成長とともに縞模様は薄れ、全体的に褐色〜灰色になり、不規則な斑点が残る程度になります。
- 体型：体は細長く、吻は丸みを帯びています。背びれは小さく、全体的に柔軟な体つきで、狭い岩の隙間にも入り込めます。
生態
生活環境
礁湖やサンゴ礁の砂底に生息し、日中は岩陰や砂地に潜み、夜になると活動的になります。酸素の少ない潮だまり（タイドプール）でも比較的長時間耐えることができる強い適応力を持っています。
食性
底生性の動物食で、エビ・カニなどの甲殻類、二枚貝、ゴカイなどの多毛類、小魚を捕食します。口元のヒゲを使って獲物を探します。
繁殖
卵生です。角ばった「卵鞘（らんしょう）」を海底に産み付けます。水族館や研究施設では繁殖が成功しており、飼育下での繁殖例が多いサメのひとつです。
行動
泳ぎはゆっくりで、胸びれと腹びれを使って海底を「這う」ように移動することもあります。
人との関わり・危険性
イヌザメは人に危険を及ぼすことはなく、非常におとなしいサメです。そのため、水族館のタッチプールなどで触れ合い体験によく利用されます。
比較的小型で丈夫なため、個人での飼育（アクアリウム）の対象にもなります。一方で、野生個体は沿岸開発や漁業による影響を受けやすく、IUCNでは「準絶滅危惧（NT）」に分類されています。
トリビア
- 名前の由来：和名「イヌザメ」の由来は諸説ありますが、海底を這うように泳ぐ姿が犬に似ているから、あるいは嗅覚が鋭いから、などと言われています。
- 水族館の人気者：日本だけでなく世界中の水族館で飼育されており、卵から孵化したばかりの縞模様の赤ちゃんサメも人気があります。
まとめ
イヌザメは、浅い海に生息する小型の底生サメで、幼魚の可愛い縞模様や、水族館で触れ合える親しみやすさで知られています。人に危険はなく、観賞や研究の対象としても重要な種です。
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FAQ（よくある質問）
Q1. イヌザメは人を襲いますか？
いいえ。非常におとなしいサメで、人を襲うことはありません。
Q2. どこで見られますか？
インド洋〜西太平洋のサンゴ礁や礁湖で見られ、日本では沖縄などで観察例があります。多くの水族館でも見られます。
Q3. どうやって繁殖しますか？
卵生で、角ばった卵鞘を産み付けます。水族館では卵の中で成長する仔ザメを観察できることもあります。
Q4. 幼魚の模様は成長するとどうなりますか？
幼魚の頃はくっきりとした縞模様（バンド）がありますが、成長すると薄くなり、斑点が残る程度になります。
Q5. 絶滅の心配はありますか？
IUCNでは「準絶滅危惧（NT）」に分類されています。沿岸開発や漁業の影響を受けやすく、保全が求められています。