オオセ(Wobbegong)

現生のサメ

オオセ(Wobbegong)図鑑

岩や海藻になりきる擬態の名人。口元の「ヒゲ(皮弁)」が特徴的な、日本近海でも見られるユニークな底生サメです。

基本情報

和名 オオセ(大瀬)
英名 Japanese Wobbegong
学名 Orectolobus japonicus
分類 テンジクザメ目 オオセ科 オオセ属
体長 1.0〜1.2m
体重
生息域 沿岸の岩礁・サンゴ礁・藻場(水深200m以浅)
分布 北西太平洋(日本、朝鮮半島、中国、フィリピン、ベトナムなど)。日本近海に多い。
IUCNレッドリスト データ不足(DD)
危険度 ★★☆☆☆(2:不用意に触ると噛まれる危険あり)

形態

オオセは非常に平たい体をしており、海底にへばりつくように生活しています。

  • 擬態(カモフラージュ):体色は褐色で、複雑な雲状の模様や斑点があり、岩や海藻にそっくりです。
  • ヒゲ(皮弁):口の周りに、海藻のように枝分かれした「皮弁(ひべん)」が多数生えています。これが輪郭をぼかし、さらに擬態効果を高めています。
  • 歯:細長く鋭い歯を持ち、一度噛みつくと離さない構造になっています。

生態

食性:待ち伏せハンター

夜行性で、昼間は岩陰などでじっとしています。夜になると活動し、岩や海藻に擬態して獲物を待ち伏せします。 目の前を通る魚類、甲殻類、頭足類、時には小型のサメなどを、素早い動きで丸呑みします。

繁殖

胎生(卵黄依存型)。妊娠期間は約1年で、一度に20匹前後の仔サメを産みます。春から初夏にかけてが出産シーズンとされています。

行動

底生性が強く、あまり泳ぎ回ることはありません。胸びれと腹びれを使って海底を這うように移動することもあります。

人との関わり・危険性

基本的には大人しく、人を襲うことはありません。しかし、岩に擬態しているため、ダイバーや海水浴客が気づかずに踏んでしまう事故が稀に起こります。

踏まれたり、イタズラされたりすると反射的に噛みつき、鋭い歯で大怪我を負わせることがあります。噛む力は強く、一度噛みつくと中々離してくれないため注意が必要です。

日本では定置網などで混獲され、一部地域では食用(湯引きや煮付け)にされます。また、そのユニークな姿から水族館でも人気があり、飼育もしやすいため多くの園館で見られます。

トリビア

  • 名前の由来:英名の「Wobbegong(ウォビゴング)」は、オーストラリアの先住民アボリジニの言葉で「毛むくじゃらのヒゲ」を意味すると言われています。
  • 日本固有?:学名に「japonicus(日本の)」とあるように、日本近海で発見され、日本周辺に多く生息するサメです。

まとめ

オオセは、岩や海藻になりきる擬態の達人です。口元のヒゲと平たい体で海底に溶け込み、獲物を待ち伏せます。日本近海で見られる身近なサメですが、踏まないように注意が必要です。水族館で見かけたら、ぜひその見事な隠れ身の術を観察してみてください。

FAQ(よくある質問)

Q1. オオセは人を襲いますか?

自分から襲ってくることはありませんが、擬態しているため気づかずに踏んでしまい、噛まれる事故が稀にあります。

Q2. どこで見られますか?

日本(本州中部以南)の沿岸の岩場やサンゴ礁で見られます。多くの水族館でも飼育展示されています。

Q3. 何を食べますか?

魚類、エビ・カニ、タコなどを待ち伏せして捕食します。

Q4. 名前の由来は?

英名「Wobbegong」はアボリジニの言葉で「毛むくじゃらのヒゲ」という意味です。和名「オオセ」の由来は諸説あり、定かではありません(「大瀬」という地名説など)。

参考文献・出典

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