オナガザメとは尾の長いサメの総称です。
オナガザメは、体と同じほど長い尾びれを持つサメの仲間です。 その長い尾をムチのように使い、魚の群れを集めたり、叩いて気絶させたりする独特の狩りで知られています。 日本語では「オナガザメ」が仲間全体を指すこともあり、標準和名としてはマオナガ、ニタリ、ハチワレなどがいます。
オナガザメは、サメ界でもかなり分かりやすい「武器持ち」です。 ただ噛むのではなく、長い尾びれで魚群を叩いてから食べるという、妙に技巧派な狩りをします。 見た目のインパクトも強いので子どもにも説明しやすい一方で、 「オナガザメ」という名前が仲間全体を指したり、マオナガを指したりするので、図鑑ではそこを整理しておく必要があります。 サメより人間の呼び名の方がややこしい。いつものことです。
「しっぽで魚をたたくの、もはや必殺技じゃん。サメなのに武器が口じゃなくてしっぽなのがかっこいい。 でもそのしっぽのせいで釣られたりするなら、ちょっとかわいそうだね。」
基本情報
| 和名 | オナガザメ類 / オナガザメ属 |
|---|---|
| 代表種 | マオナガ、ニタリ、ハチワレ |
| 英名 | Thresher Sharks |
| 分類 | ネズミザメ目 オナガザメ科 オナガザメ属 |
| 学名 | Alopias spp. |
| 代表的な種の学名 |
マオナガ:Alopias vulpinus ニタリ:Alopias pelagicus ハチワレ:Alopias superciliosus |
| 体長 | 種によって異なりますが、マオナガは最大5.7m前後に達する大型種です。 体長には長い尾びれも含まれます。 |
| 生息域 | 温帯〜熱帯の外洋・沿岸域。水深の浅い海から数百mの深さまで利用します。 |
| 分布 | 世界中の温帯〜熱帯海域。日本近海でもマオナガ、ニタリ、ハチワレなどが知られています。 |
| IUCNレッドリスト | 種により異なります。マオナガは危急(VU)、 ニタリは絶滅危惧(EN)、ハチワレは危急(VU)とされています。 |
| 危険度 | ★★☆☆☆(2:人を積極的に襲うことは少ないが、大型で尾びれも強力なため注意) |
「オナガザメ」と「マオナガ」の違い
日本語で「オナガザメ」というと、広い意味ではオナガザメ科・オナガザメ属のサメ全体を指すことがあります。 一方、Common Thresher、学名 Alopias vulpinus に対応する標準和名としては マオナガ が使われます。
そのため本ページでは、「オナガザメ」を仲間全体の総称として扱い、 Common Thresher 単独の詳しい解説は マオナガのページ へ分けて紹介します。 同じサメを2ページで殴り合いさせると、Googleも読者も混乱します。サメは静かに泳いでいるだけなのに。
形態:体と同じほど長い尾びれ
オナガザメ類の最大の特徴は、尾鰭(おびれ)の上側が非常に長く伸びることです。 種によって差はありますが、長い尾びれは体の本体と同じくらいの長さになることもあります。 横から見ると、普通のサメというより「尾びれ付きの槍」みたいなシルエットです。
- 尾びれ: 上葉が非常に長く、ムチのようにしなる形をしています。
- 体型: 外洋を泳ぐのに適した流線型で、細長くスマートな姿です。
- 目: マオナガやニタリは比較的普通の目ですが、ハチワレは大きな目を持ち、深場への適応が見られます。
- 体色: 背側は灰色、青灰色、褐色系で、腹側は白色です。種類によって白い部分の広がり方が見分けの手がかりになります。
生態
食性:尾びれを使った狩り
オナガザメ類は、イワシ、サバ、ニシンなどの群れを作る小型魚や、イカなどを食べます。 最大の特徴は、長い尾びれを使った狩りです。 魚群に近づき、尾を振って群れをまとめたり、強く叩いたりして、動きの鈍った魚を捕食します。
FishBaseでも、マオナガは長い尾びれを使って獲物をまとめ、気絶させると説明されています。 つまり「噛む前にしっぽで殴る」タイプのサメです。 進化、たまに発想がゲームのボスみたいになります。
行動と回遊
オナガザメ類は外洋性が強いサメですが、沿岸に近づくこともあります。 マオナガでは、成魚は大陸棚周辺、若い個体は沿岸の湾や浅い海で見られることがあります。 広い範囲を移動する回遊性のサメで、季節や水温、餌となる魚群の動きに合わせて移動します。
繁殖
オナガザメ類は胎生のサメです。 胎内で育つ仔ザメは、卵黄や母親が供給する未受精卵を栄養にして成長します。 マオナガでは、一度に産まれる仔ザメは2〜4匹ほどで、多くの場合は少数です。
つまり、オナガザメ類は一度にたくさん増えるタイプではありません。 そのため、漁業による捕獲や混獲が続くと、個体数が回復しにくい弱点があります。 かっこいい尾びれを持っていても、繁殖力まで強いわけではありません。生き物の設計、万能ではない。
オナガザメの仲間
マオナガ(Common Thresher)
マオナガは、学名 Alopias vulpinus の大型のオナガザメです。 英名は Common Thresher。 体が大きく、尾びれ上葉が非常に長い代表的な種類で、世界中の温帯海域に広く分布します。 お腹の白い部分が胸びれの上まで伸びる点が、ニタリとの識別ポイントになります。
ニタリ(Pelagic Thresher)
ニタリは、熱帯〜亜熱帯の外洋で見られるオナガザメの仲間です。 日本近海でも知られ、ダイビングで観察されることもあります。 マオナガに似ていますが、お腹の白い部分が胸びれの上まで伸びないことなどで見分けられます。
ハチワレ(Bigeye Thresher)
ハチワレは、大きな目が特徴のオナガザメです。 深い海にも適応しており、夜間や深場での行動に向いた体のつくりをしています。 名前の「ハチワレ」は猫の模様ではなく、頭部の溝のような特徴に由来します。 ここで猫を出してくる日本語、油断ならない。
人との関わり・危険性
人を積極的に襲うサメではない
オナガザメ類は大型になるものの、人を積極的に襲うサメではありません。 FishBaseでもマオナガは人への危険性が低いサメとして扱われています。 ただし、長い尾びれの一撃は非常に強力です。 釣り上げられた個体や、接近しすぎた個体には注意が必要です。
漁業・ヒレ利用・混獲
オナガザメ類は、肉やヒレの利用、スポーツフィッシング、延縄や流し網などでの混獲により影響を受けてきました。 マオナガはIUCNで危急(VU)とされ、CITES Appendix II、CMS Appendix IIにも掲載されています。 国際取引や回遊性の保全が課題になるサメです。
かっこいい尾びれを持っているから人気が出る。 人気が出ると獲られる。 獲られると減る。 人間社会、だいたいこの雑な三段論法で海を削っています。
トリビア
- 名前の由来: 「オナガ」は尾が長いことに由来します。見たままですが、見たまますぎて逆に強い名前です。
- 英名の Thresher: 「脱穀するもの」「打つもの」という意味があり、尾で獲物を叩くイメージと重なります。
- 英語では Fox Shark とも呼ばれる: 学名の vulpinus も「キツネのような」という意味に由来します。
- オナガザメ属は3種: 一般にマオナガ、ニタリ、ハチワレの3種が知られています。
- 尾びれは飾りではない: 長いだけでなく、獲物をまとめたり叩いたりする実用的な武器です。
まとめ
オナガザメは、長い尾びれを持つサメの仲間です。 代表的な種類には、マオナガ、ニタリ、ハチワレがいます。 長い尾びれは見た目の特徴であるだけでなく、魚群を叩いて狩りをするための武器としても使われます。
一方で、オナガザメ類は繁殖力が低く、混獲や漁業利用の影響を受けやすいサメです。 マオナガはIUCNで危急(VU)とされ、国際的にも保全が必要なサメとして扱われています。 かっこいいからこそ守る。人間もたまにはそういう単純で良い結論にたどり着いてほしいものです。
関連
FAQ(よくある質問)
オナガザメとマオナガは同じですか?
厳密には、マオナガは Common Thresher、学名 Alopias vulpinus に対応する種類です。 一方、「オナガザメ」は広い意味でオナガザメ科・オナガザメ属の仲間全体を指すことがあります。 本ページでは、オナガザメを仲間全体の総称として紹介しています。
オナガザメは人を襲いますか?
人を積極的に襲うサメではありません。 ただし大型になり、尾びれの動きも強力なため、釣り上げられた個体や近距離での接触には注意が必要です。
尾びれは何のために長いのですか?
長い尾びれは、泳ぎだけでなく狩りにも使われます。 魚の群れをまとめたり、尾で叩いて気絶させたりして捕食します。
オナガザメの仲間にはどんな種類がいますか?
代表的な種類に、マオナガ、ニタリ、ハチワレがいます。 いずれも長い尾びれを持ちますが、体型、目の大きさ、腹部の白色域、生息環境などに違いがあります。
オナガザメは絶滅の心配がありますか?
はい。種によって評価は異なりますが、マオナガはIUCNで危急(VU)とされています。 混獲、漁業利用、ヒレの国際取引などの影響を受けやすく、繁殖力も低いため、資源管理が重要です。