カスザメ(Angelshark / Sand Devil)

現生のサメ

カスザメ(Angelshark / Sand Devil)図鑑

エイのように平たい体を持つ底生サメ。砂に潜んで獲物を待ち伏せする「海の忍者」の生態を解説します。

👨‍💻 管理者コメント

カスザメという名前が切ない……と感じてしまいます。この「カス(滓)」という名は、江戸時代の頃から利用価値が低いとされたり、身が水っぽく評価が低かったりしたことに由来するという説があります。英名では「Angelshark(天使のサメ)」と呼ばれ、胸びれが翼のように美しく見えるとされているのに、日本語では正反対のニュアンス。でも、実際には「砂の悪魔(Sand Devil)」の異名を持つほど、獲物を仕留める力は一級品です。名前の切なさとは裏腹に、厳しい海底の世界で独自の進化を遂げたその姿には、生き物としての矜持を感じずにはいられません。

👦 息子コメント

サメなのかよくわからないけど、ぺちゃんこでかわいい。絶滅しそうなんだよね?頑張って生き残ってほしい!

基本情報

和名カスザメ
英名Angelshark / Sand Devil
学名Squatina japonica
分類カスザメ目 カスザメ科 カスザメ属
体長平均 1.0〜1.5m(最大 約2.0m 程度)
生息域温帯〜熱帯域の砂泥底。水深10〜150mの浅海域。
分布北西太平洋(日本列島、朝鮮半島、中国沿岸)。
IUCNレッドリスト絶滅危惧(EN) ※地域差あり
危険度★★★☆☆(3:踏むと噛まれる危険あり)

形態

体は極めて扁平(平たい)で、胸びれ・腹びれが大きく広がっています。一見エイに似ていますが、以下の点で区別できます。

  • 鰓孔(えら):エイは腹側にありますが、カスザメは体の側面にあります。
  • 背びれ:独立した背びれが尾の近くに2基あります。
  • 口:頭部の先端(前面)にあり、鋭い歯が並びます。
  • 噴水孔:目の後ろに大きな噴水孔があり、砂に潜ったままでも効率よく呼吸ができます。

生態

待ち伏せ型の狩り

砂や泥の中に身を埋め、目だけを出して獲物を待ち伏せします。小型の魚や甲殻類が近づくと、瞬発的に体を反らせて飛び出し、口を大きく開けて海水ごと丸呑みします。この早業は0.1秒以下とも言われます。

この驚異的なスピードの吸い込みは、口腔内の容積を急激に広げることで強力な「負圧」を生み出す、底生サメ特有の進化の結果です。

行動

定住性が強く、あまり長距離を泳ぎ回りません。夜行性の傾向があり、夜になると海底を離れて泳ぐこともあります。

繁殖

卵胎生。体内で卵が孵化し、仔サメとなって産まれます。産仔数は数尾〜数十尾です。

人との関わり・危険性

通常は大人しいですが、砂に隠れているため、浅瀬で海水浴客やダイバーが誤って踏んでしまう事故が起こります。踏まれると反射的に噛みつき、鋭い歯で大怪我を負わせることがあるため、「Sand Devil(砂の悪魔)」とも呼ばれます。

底引き網漁などで混獲されることが多く、個体数は減少傾向にあります。近縁種を含め、世界的に保全が必要なグループです。

カスザメに会える水族館

砂の中に潜っている姿や、独特な泳ぎを観察できる主な水族館を紹介します。

トリビア

  • 天使の翼:英名「Angelshark」は、大きく広げた胸びれが天使の翼に見えることに由来します。(性格は悪魔的ですが…)
  • 昔の利用:ザラザラした鮫肌は、古くは刀剣の柄(つか)の滑り止めや、木工用のヤスリとして利用されました。
  • 擬態の達人:周囲の砂の色に合わせて体色を微妙に変化させる能力を持っており、ダイバーでも見つけるのが困難です。

まとめ

カスザメは、サメとエイの中間のような姿をしたユニークな底生サメです。砂に潜る見事なカモフラージュと電光石火の早業で狩りを行います。踏まない限り危険はありませんが、海での足元には注意が必要です。

FAQ(よくある質問)

エイとの見分け方は?

カスザメはエラの穴が体の横にあり、背びれが2つあります。エイはエラが腹の下にあります。

人に危険ですか?

普段は襲ってきませんが、砂に隠れているのを踏んでしまうと噛みつくことがあります。浅瀬では足元に注意しましょう。

毒はありますか?

エイのような毒針(尾棘)はありません。危険なのは鋭い歯と顎の力です。

どうして「カスザメ」という名前なのですか?

身が食用として価値が低い「残りカス」とされた説や、皮が「ザラザラ(カスのような質感)」だった説があります。現在の価値観では、絶滅危惧種として非常に貴重な存在です。

参考文献・出典

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