クロヘリメジロザメ（Grey Reef Shark）図鑑

「グレイリーフシャーク」の名でダイバーに親しまれる、サンゴ礁の主役。尾びれの縁が黒いのが目印です。

基本情報

和名	クロヘリメジロザメ（黒縁目白鮫）
英名	Grey Reef Shark
学名	Carcharhinus amblyrhynchos
分類	メジロザメ目メジロザメ科メジロザメ属
体長	平均 1.5〜1.9m（最大2.5m程度）
体重	20〜30kg
生息域	サンゴ礁の外縁、ドロップオフ、ラグーン（水深60m以浅）
分布	インド太平洋の熱帯〜亜熱帯海域（紅海、東南アジア、オーストラリア、ポリネシアなど）
IUCNレッドリスト	絶滅危惧（EN）
危険度	★★★☆☆（3：縄張り意識が強く、威嚇行動をとる）

形態：尾びれの特徴

クロヘリメジロザメは、典型的な「サメらしい」流線型の体型をしています。

尾びれの黒縁：最大の特徴は、尾びれの後縁（後ろのフチ）に沿って太い黒い帯が入ることです。他のヒレの先端には黒い模様はありません（背びれの先端が白い個体もいます）。
体色：背側は灰色、腹側は白です。英名「Grey Reef Shark」の通り、全体的にグレーの印象が強いサメです。
似ているサメ：オグロメジロザメと名前が似ていますが、オグロメジロザメはもっと大型で、背びれの間に隆起があります（クロヘリメジロザメにはありません）。

生態

行動：威嚇のポーズ

普段はゆったりと泳いでいますが、ダイバーがしつこく追いかけたり、縄張りを侵したりすると、独特の「威嚇行動（スレット・ディスプレイ）」をとることが知られています。背中を弓なりに反らせ、胸ビレを下げ、頭を左右に振って泳ぎます。これは「これ以上近づくな」という警告のサインであり、無視すると攻撃してくる可能性があります。

食性

サンゴ礁に住む魚類（チョウチョウウオやブダイなど）、イカ、タコなどを捕食します。嗅覚と聴覚が非常に鋭く、傷ついた魚の音や血の匂いに敏感に反応します。

繁殖

胎生（胎盤形成型）。妊娠期間は約1年で、一度に1〜6匹の仔サメを産みます。

人との関わり・危険性

ダイバーにとっては非常にポピュラーなサメで、パラオやタヒチ、モルディブなどのダイビングスポットでは、群れで泳ぐ姿を観察することができます。

基本的には人を襲うことはありませんが、餌付けなどで興奮している場合や、上記の「威嚇行動」を無視した場合には噛まれる事故が起きています。好奇心が強いため、向こうから近づいてくることもあります。

沿岸のサンゴ礁に依存しているため、サンゴ礁の減少や乱獲の影響を強く受けており、IUCNレッドリストでは「絶滅危惧（EN）」に指定されています。

トリビア

名前の由来：和名「クロヘリ（黒縁）」は尾びれの黒い縁取りから。英名「Grey Reef（灰色の岩礁）」は生息環境と体色から来ています。
社会性：昼間は潮流の速い場所で、数十匹の群れを作って泳ぐことがあります。

まとめ

クロヘリメジロザメは、サンゴ礁の生態系の頂点に立つ、美しくも力強いサメです。ダイビングの人気者ですが、彼らの警告（威嚇行動）を見逃さないよう、敬意を持って観察することが大切です。

FAQ（よくある質問）

人を襲いますか？

普段は襲いませんが、餌付け時や威嚇行動を無視した場合には噛まれることがあります。

オグロメジロザメとの違いは？

オグロメジロザメはより大型（3m超）で、背びれの間に隆起があります。クロヘリメジロザメは小型（1.8m程度）で隆起がありません。

どこで見られますか？

インド太平洋のサンゴ礁で見られます。日本では沖縄や小笠原諸島などで稀に見られますが、海外のリゾート地の方が遭遇率は高いです。