シロザメ（Spotless Smooth-hound）図鑑
ホシザメのそっくりさん。名前の通り「模様がない（Spotless）」のが特徴で、日本の食卓を支える重要な食用サメの一つです。
基本情報
| 和名 | シロザメ（白鮫） |
|---|---|
| 英名 | Spotless Smooth-hound |
| 学名 | Mustelus griseus |
| 分類 | メジロザメ目 ドチザメ科 ホシザメ属 |
| 体長 | 平均 0.8〜1.0m（最大でも1.4m程度） |
| 生息域 | 大陸棚の沿岸〜底層（水深300m以浅） |
| 分布 | 北西太平洋（日本、朝鮮半島、中国、ベトナムなど） |
| IUCNレッドリスト | 危急（VU） |
| 危険度 | ★☆☆☆☆（1：人に危害は加えない） |
形態：ホシザメとの違い
シロザメは、同じ場所に住むホシザメと非常によく似ていますが、最大の違いは「模様がない」ことです。
- 体色：背側は一様な灰褐色で、ホシザメのような「白い斑点」がありません。腹側は白色です。
- 歯：ホシザメ同様、鋭く尖った歯ではなく、石畳のように敷き詰められた「臼歯状」の歯を持っています。これで硬い殻を砕きます。
生態
食性
底生性で、海底の砂泥地に潜むエビ・カニなどの甲殻類や、イカ・タコなどの頭足類を好んで食べます。臼歯状の歯は、カニの甲羅を噛み砕くのに最適です。
繁殖
胎生（胎盤形成型）。母親のお腹の中で、胎盤を通じて栄養をもらって育ちます。一度に5〜15匹程度の仔サメを産みます。 （※似ているホシザメは胎盤を作らない「卵黄依存型」なので、繁殖方法に大きな違いがあります）
人との関わり・危険性
おとなしい性格で、歯も尖っていないため、人に危害を加えることはありません。
日本では古くから食用として利用されています。底引き網などでホシザメと一緒に漁獲され、区別されずに「ムキサメ」などの名で流通することもあります。 肉はアンモニア臭が少なく、かまぼこやはんぺんなどの練り製品の原料として非常に重要です。また、湯引きや煮付けとしても美味しく食べられます。
トリビア
- 名前の由来：「シロザメ」は、ホシザメにあるような星（斑点）がなく、無地であることから来ていると言われます（体が白いわけではありません）。
- 英名：「Spotless（斑点のない）Smooth-hound（滑らかな犬＝ドチザメの仲間）」という、見た目そのままの名前が付けられています。
まとめ
シロザメは、ホシザメの影に隠れがちですが、日本の食文化を支える重要なサメです。斑点のないシンプルな姿と、胎盤で子供を育てる進化した繁殖方法が特徴です。水族館や魚市場で見かけたら、背中の模様をチェックしてみてください。
関連
FAQ（よくある質問）
ホシザメとの見分け方は？
背中に白い点々（星）があればホシザメ、模様がなく無地ならシロザメです。
人を襲いますか？
いいえ。非常におとなしく、歯も臼歯状なので噛まれても大怪我にはなりにくいです。
食べられますか？
はい。練り製品の材料として優秀なほか、湯引きや煮付けでも美味しく食べられます。