タテスジトラザメ(Pyjama Shark)

現生のサメ

タテスジトラザメ(Pyjama Shark)図鑑

全身に走る太い縦縞(ストライプ)が特徴。その見た目から「パジャマ・シャーク」という可愛らしい英名で呼ばれる、南アフリカの固有種です。

基本情報

和名 タテスジトラザメ(縦筋虎鮫)
英名 Pyjama Shark / Striped Catshark
学名 Poroderma africanum
分類 メジロザメ目 トラザメ科 タテスジトラザメ属
体長 0.8〜1.0m(最大1.1m程度)
生息域 沿岸の浅瀬、岩礁、ケルプの森(水深0〜100m)
分布 南アフリカ沿岸(固有種)
IUCNレッドリスト 低懸念(LC)
危険度 ★☆☆☆☆(1:おとなしいが、手を出せば噛む)

形態:パジャマのような縦縞

タテスジトラザメの最大の特徴は、そのユニークな模様です。

  • 縦縞(ストライプ):頭から尾にかけて、体側を走る太く黒い縦縞が5〜7本あります。この模様が寝間着のストライプ柄に見えることから、英名で「Pyjama Shark(パジャマ・シャーク)」と呼ばれています。
  • 体型:体はずんぐりとしており、頭部は少し平らです。口元には短いヒゲがあり、海底の獲物を探すのに役立っています。

生態

ケルプの森の住人

南アフリカ沿岸に広がる「ケルプの森(巨大な海藻の森)」を主な住処としています。 夜行性で、昼間は岩の隙間や海藻の茂みでじっとしていますが、夜になると活発に泳ぎ回り、海底の獲物を探します。

食性

主に甲殻類(エビ・カニ)、イカ・タコ、小魚などを捕食します。 強力な顎と鋭い歯を持っており、獲物に食らいついたら体を激しく回転させて肉を食いちぎる「デス・ロール」のような行動を見せることもあります。

繁殖

卵生です。メスは一度に1個(片方の卵管から1個ずつ)の卵を産みます。 卵鞘(らんしょう)は濃い茶色で、海藻に絡みつくための長い巻きひげが付いています。卵は「マーメイドの財布」と呼ばれ、海岸に打ち上げられることもあります。

人との関わり・危険性

人間を襲うようなサメではありません。南アフリカのダイバーにとっては、海藻林の中で出会えるアイドル的な存在です。

しかし、おとなしいからといって触ったり捕まえようとしたりすると、身を守るために噛み付くことがあります。小型ですが顎の力は強く、怪我をする恐れがあるため注意が必要です。 水族館ではそのユニークな見た目から人気があり、日本でもいくつかのアクアリウムで飼育展示されています。

トリビア

  • 近縁種:同じ場所に住む「ヒョウモントラザメ(Leopard Catshark)」とは近縁です。こちらは縦縞ではなく、豹柄のような斑点模様を持っています。
  • テレビでの紹介:そのキャッチーな名前と見た目から、動物バラエティ番組などで「変な名前の生き物」として紹介されることがあります。

まとめ

タテスジトラザメは、一度見たら忘れない「パジャマ柄」のサメです。南アフリカの海藻林でひっそりと暮らす彼らは、そのユーモラスな名前とは裏腹に、厳しい自然を生き抜くたくましいハンターでもあります。

FAQ(よくある質問)

なぜ「パジャマ」なのですか?

体に入っている太い縦縞模様が、昔の囚人服やパジャマのストライプ柄に似ていることから名付けられました。

日本で見られますか?

野生個体は南アフリカにしかいませんが、日本の水族館(アクアワールド大洗など)で飼育展示されることがあります。

人を襲いますか?

自分から襲ってくることはありません。ただし、イタズラをすると噛まれることがあるので、触らないようにしましょう。

参考文献・出典

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