基本情報
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和名:ツマグロ
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英名:Blacktip Reef Shark
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学名:Carcharhinus melanopterus
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体長:1.4〜1.8m(最大2m弱の記録あり)
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体重:20〜25kg
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生息域:浅い礁湖・サンゴ礁の外縁(水深数m〜75m程度)
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分布:インド太平洋の熱帯域(紅海、インド洋〜東南アジア、オーストラリア、ポリネシア、日本の南西諸島など)
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IUCNレッドリスト:危急(VU)
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危険度:★★☆☆☆(2:人に対して攻撃的ではないが注意は必要)
形態
ツマグロはメジロザメ科の中型種で、鰭の先端にくっきりとした黒色斑があるのが最大の特徴です。
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背は灰褐色〜緑がかった色合い、腹は白色。
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背ビレ・胸鰭・尾鰭の先に黒色のマーキングが入り、遠目でも識別しやすい。
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体型はスリムで、流線形のシルエットはサンゴ礁の浅瀬を機敏に泳ぐのに適しています。
生態
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行動:浅いサンゴ礁や礁湖を好み、人が遊泳するエリアに出現することも多いサメです。比較的縄張り性があり、同じリーフで観察される個体が長期間定住する例もあります。
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食性:小魚や甲殻類、時に頭足類を捕食します。浅場で群れの小魚を追い込んで捕らえる姿がよく見られます。
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繁殖:胎生。妊娠期間は約10〜11か月で、1度に2〜5匹の仔を産みます。仔ザメはサンゴ礁の浅場を保育場として利用し、外敵から守られながら成長します。
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回遊性:広域回遊はあまりせず、サンゴ礁周辺に定着する傾向が強い「沿岸型サメ」です。
人との関わり・危険性
ツマグロはダイバーやスノーケラーにとって最も身近に観察できるサメのひとつです。
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基本的に人を襲うことはありませんが、餌付けや刺激によって接近すると噛みつく事故が報告されることもあります。
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多くの海域で「リーフシャーク(礁サメ)」の代表格として観光資源になっています。
一方で、浅場に生息するため沿岸開発や環境破壊の影響を強く受けやすく、さらに乱獲や混獲の影響も加わり、IUCNでは「危急(VU)」に指定されています。
トリビア
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名前の由来:「ツマグロ(端黒)」は、鰭の先端が黒いことから付けられました。
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観光資源:モルディブやボラボラ島など、世界的なリゾートのサンゴ礁で観光ダイビングの主役になることが多い。
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定住性の研究:標識調査で、同じリーフに数年以上とどまる個体が確認されています。
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浅場サメの代表:人が泳ぐほどの浅瀬にも現れるため、サメの中でも特に身近に感じられる存在です。
まとめ
ツマグロは、サンゴ礁の浅場に生息する中型のサメで、鰭先の黒い斑点が特徴的です。人に危険は少ないものの、観光ダイビングで人気が高く、サンゴ礁生態系の象徴的存在でもあります。環境悪化や乱獲により数を減らしており、今後の保護が必要な種です。
FAQ(よくある質問)
Q1. ツマグロは人を襲いますか?
A. 基本的に人を襲うことはありません。ただし餌付けや接触で刺激されると噛むことがあります。
Q2. どこで見られますか?
A. インド太平洋の熱帯域のサンゴ礁。モルディブ、ポリネシア、沖縄など世界各地で観察可能です。
Q3. どのくらい大きくなりますか?
A. 平均1.4〜1.8m、最大で2m弱の記録があります。
Q4. 何を食べるのですか?
A. 小魚や甲殻類を中心に捕食します。群れを追い詰めて狩る行動も観察されています。
Q5. 絶滅の心配はありますか?
A. はい。IUCNでは「危急(VU)」に指定されており、沿岸開発や乱獲で生息数が減少しています。
参考文献・出典
- IUCN Red List of Threatened Species https://www.iucnredlist.org/
- FishBase https://www.fishbase.se/
- FAO Fisheries & Aquaculture http://www.fao.org/fishery/