ナガハナメジロザメ（Spinner Shark）図鑑

きりもみ回転しながら海面から飛び出す「スピニング・ジャンプ」で有名なサメ。そのダイナミックな狩りの姿から、英名では「スピナーシャーク」と呼ばれます。

基本情報

和名	ナガハナメジロザメ（長鼻目白鮫）
英名	Spinner Shark
学名	Carcharhinus brevipinna
分類	メジロザメ目メジロザメ科メジロザメ属
体長	平均 2〜2.5m（最大3m程度）
体重	50〜90kg
生息域	沿岸〜外洋の表層（水深0〜100m）
分布	世界中の温帯〜熱帯海域（大西洋、インド洋、太平洋、地中海など）
IUCNレッドリスト	準絶滅危惧（NT）
危険度	★★☆☆☆（2：ジャンプによる衝突や誤咬に注意）

ナガハナメジロザメは、非常にスリムで流線型の体を持っています。

吻（鼻先）：和名の通り「長く尖った鼻（吻）」が特徴です。
ヒレの黒斑：第二背びれ、胸びれ、臀びれ、尾びれの下葉の先端が黒くなっています（若い個体では目立たないことがあります）。
似ているサメ：カマストガリザメやクロトガリザメと非常によく似ていますが、第一背びれの先端に黒い模様がない（または非常に薄い）ことで区別されます（カマストガリザメは第一背びれの先が黒い）。

このサメの最大の特徴は、狩りのスタイルです。イワシやニシンなどの魚群を下から突き上げるように猛スピードで突進し、群れの中で体を回転させながら噛み付きます。その勢いのまま海面から飛び出し、空中で数回きりもみ回転（スピン）して着水します。この行動から「スピナー（回転する）・シャーク」と呼ばれています。

高速で泳ぐ小魚の群れを好んで捕食します。イカやタコ、エイなども食べることがあります。

胎生（胎盤形成型）。一度に3〜15匹程度の仔サメを産みます。妊娠期間は約11〜15ヶ月です。

基本的には人を襲うようなサメではありません。しかし、濁った水の中や、魚群を追って興奮している状態では、人の手足を魚と間違えて噛んでしまう事故（誤認）が報告されています。また、釣り上げられた際に激しく回転して暴れるため、怪我をする危険があります。

そのジャンプ力とファイトの強さから、海外ではスポーツフィッシングの対象として人気があります。食用やフカヒレ目的の漁獲もあり、IUCNレッドリストでは「準絶滅危惧（NT）」とされています。

ナガハナメジロザメは、海のアクロバットスターです。高速で泳ぎ、回転しながら空を舞うその姿は、サメの運動能力の高さを象徴しています。カマストガリザメと見分けるのは難しいですが、ジャンプする姿を見たら、それはきっと彼らでしょう。

なぜ回転するのですか？

魚の群れの中で回転しながら口を開けることで、四方八方の魚を効率よく捕らえるためと考えられています。

人を襲いますか？

積極的には襲いませんが、魚群を追っているときは興奮しており、誤って噛まれる事故が起きることがあります。

どこで見られますか？

世界中の暖かい海にいます。特にアメリカのフロリダ州沿岸では、冬に大規模な群れを作り、ジャンプする姿がよく観察されます。