バケアオザメ(Longfin Mako)図鑑
アオザメのそっくりさんですが、胸ビレが非常に長いのが特徴。アオザメよりも深い海を好み、世界中の熱帯の海を回遊する捕食者です。
基本情報
| 和名 | バケアオザメ |
|---|---|
| 英名 | Longfin Mako |
| 学名 | Isurus paucus |
| 分類 | ネズミザメ目 ネズミザメ科 アオザメ属 |
| 体長 | 平均 2.5〜3.5m(最大4mを超える記録もあり) |
| 生息域 | 外洋の表層〜中層(アオザメよりやや深場を好む) |
| 分布 | 世界中の熱帯〜温帯海域(太平洋、大西洋、インド洋) |
| IUCNレッドリスト | 絶滅危惧(EN) |
| 危険度 | ★★★★☆(4:大型で潜在的に危険だが、遭遇は稀) |
形態:アオザメとの違い
バケアオザメは、近縁種のアオザメ(Shortfin Mako)と非常によく似ていますが、決定的な違いがあります。
- 胸ビレ:バケアオザメの胸ビレは非常に長く、体長の約30%にも達します(アオザメは20%未満)。英名「Longfin(長いヒレ)」の由来です。
- 体型:アオザメに比べてやや細身で、筋肉量が少なく、少し華奢な印象を与えます。
- 顔つき:アオザメよりも目が大きく、吻(鼻先)が少し丸みを帯びています。
生態
遊泳能力
アオザメほど筋肉質ではないため、最高速度はアオザメ(時速60km以上)には劣ると考えられています。長い胸ビレを使って、水の中をグライダーのように滑空しながら、エネルギーを節約して泳ぎます。
食性
外洋性の魚類(マグロ、カツオなど)やイカ類を捕食します。目が大きいため、深場のわずかな光を頼りに獲物を探している可能性があります。
繁殖
胎生(卵食型)。一度に2〜8匹の仔サメを産みます。出生時のサイズは約1mと大きく、生まれた直後から自力で泳いで獲物を捕らえます。
人との関わり・危険性
大型で歯が鋭いため潜在的には危険ですが、アオザメよりも沖合の深い場所にいることが多く、ダイバーや遊泳者が遭遇することは極めて稀です。 延縄漁でマグロなどの混獲として水揚げされることがありますが、アオザメに比べて肉質が柔らかく、市場価値は低いとされます(ヒレはフカヒレとして利用されます)。 個体数は減少傾向にあり、IUCNレッドリストでは「絶滅危惧(EN)」に指定されています。
トリビア
- 発見の遅れ:アオザメとあまりに似ているため、長らく同一種だと思われており、別種として記載されたのは1966年と比較的最近のことです。
- 和名の由来:「バケ(化け)」は、アオザメに化けた(似ている)という意味や、幽霊のようにひっそりと現れることに由来するとも言われます。
まとめ
バケアオザメは、アオザメの影に隠れがちですが、長い胸ビレを広げて深海を滑空する独自の進化を遂げたサメです。アオザメとの違いを知れば、外洋のサメの多様性が見えてきます。
関連
FAQ(よくある質問)
アオザメとの見分け方は?
胸ビレの長さが決定的に違います。バケアオザメの胸ビレは非常に長く、頭の長さよりも長いです。アオザメは頭の長さより短いです。
人を襲いますか?
遭遇例が非常に少ないため事故記録もほとんどありませんが、大型で歯が鋭いため危険性はあります。
速く泳げますか?
アオザメほど速くはありませんが、流線型の体を持っており、十分な高速遊泳が可能です。