ヒラシュモクザメ(Great Hammerhead)

現生のサメ

ヒラシュモクザメ(Great Hammerhead)図鑑

シュモクザメ類で最大級。一直線に近い幅広い頭部(ハンマー)と巨大な背びれが特徴。エイを好んで食べる強力な捕食者です。

基本情報

和名ヒラシュモクザメ
英名Great Hammerhead
学名Sphyrna mokarran
分類メジロザメ目 シュモクザメ科 シュモクザメ属
体長平均 3.5〜4.5m(最大 約6.1m 程度)
体重平均 200〜400kg(最大 500kg 超の報告あり)
生息域世界中の熱帯・亜熱帯沿岸〜外洋。サンゴ礁や大陸棚沿い。
分布温暖海域に広域分布。季節回遊あり。
IUCNレッドリスト深刻な危機(CR)
危険度★★★★★(5:大型・攻撃的ポテンシャル/人身事故報告あり)

形態

シュモクザメ類の中で最大種であり、セファロフォイル(ハンマー状頭部)の幅が体長の約1/4に達することもあります。

  • 頭部:前縁が一直線に近く(または中央がわずかに凹む)、これが「ヒラ(平)」の名の由来です。
  • 背びれ:第一背びれが非常に高く、鎌状に尖っています。
  • 歯:鋭い三角形で、縁には鋸歯があり、獲物を切り裂くのに適しています。

生態

食性:エイハンター

基本は単独行動の上位捕食者。特にアカエイなどのエイ類を好んで捕食します。幅広い頭部を使って海底のエイを押さえつけ、動きを封じてから食べる高度な狩りが知られています。

行動

遊泳能力が高く広域を移動します。ハンマー頭部には微弱な電気を感知するロレンチーニ器官が広く分布しており、砂に潜ったエイを見つけるのに役立っています。大型個体は好奇心からダイバーに接近することもあります。

繁殖

胎生(卵黄依存型)。妊娠期間は約11か月で、一度に15〜50尾の仔を産みます。成熟が遅く、一度減ると回復に時間がかかります。

人との関わり・危険性

大型で力強い種であり、過去に人身事故も報告されています(餌付け、挑発、捕獲時など)。潜在的な危険度は高いため、遭遇時は注意が必要です。

一方で、そのフカヒレは最高級品として扱われるため、乱獲や混獲の影響を強く受けています。個体数は激減しており、IUCNレッドリストでは「深刻な危機(CR)」に指定されています。

トリビア

  • 横泳ぎ:長距離を移動する際、体を約60度傾けて「横泳ぎ」をすることで、エネルギー効率を高めていることが発見されました。
  • 出産場所:妊娠したメスが浅い湾を出産・育成場に選ぶ例が知られ、地域的な保護指定が進んでいます。

まとめ

ヒラシュモクザメは、巨大で象徴的なハンマーヘッドシャークです。エイを頭で押さえつけるユニークな狩りや、横泳ぎなどの生態で知られます。人への危険性はありますが、それ以上に絶滅の危機に瀕しており、国際的な保全の象徴となっています。

FAQ(よくある質問)

他のシュモクザメとの違いは?

頭部の前縁が「一直線」に近いこと(他の種は弓状にカーブする)、第一背びれが非常に高いことが特徴です。

なぜエイを好むのですか?

幅広い頭部でエイを押さえ込みやすく、電気感知能力で砂に隠れたエイを見つけやすいためと考えられます。

人に危険ですか?

はい。大型で攻撃的な一面があり、潜在的に危険です。野生個体には十分な距離を保ちましょう。

保全状況は?

IUCNで「深刻な危機(CR)」に指定されています。フカヒレ目的の乱獲や混獲が主な原因です。

参考文献・出典

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