ペレスメジロザメ(Caribbean Reef Shark)

現生のサメ

ペレスメジロザメ(Caribbean Reef Shark)図鑑

カリブ海のサンゴ礁で最もポピュラーなサメ。「海底洞窟で眠る」という、メジロザメ類としては珍しい習性が発見されたことで有名です。

基本情報

和名 ペレスメジロザメ
英名 Caribbean Reef Shark
学名 Carcharhinus perezi
分類 メジロザメ目 メジロザメ科 メジロザメ属
体長 平均 2〜2.5m(最大3m程度)
体重 70kg前後
生息域 サンゴ礁のドロップオフや海底洞窟(水深30m以浅に多い)
分布 西大西洋の熱帯域(フロリダ、カリブ海、ブラジルなど)
IUCNレッドリスト 絶滅危惧(EN)
危険度 ★★★☆☆(3:餌付け時などは注意が必要)

形態

ペレスメジロザメは、典型的なメジロザメ体型をしていますが、いくつかの特徴で見分けられます。

  • 体色:背側は暗灰色〜灰褐色で、腹側は白〜黄色がかっています。体側に目立たない白い帯模様が入ることがあります。
  • ヒレ:第二背びれ、臀びれ、胸びれの裏側の先端が黒っぽくなっています(くっきりとした黒斑ではありません)。
  • 似ているサメ:オグロメジロザメクロトガリザメシルキーシャークと非常によく似ており、海中で見分けるのは困難です。生息地(カリブ海)が識別の大きな手がかりになります。

生態

「眠るサメ」の謎

通常、メジロザメの仲間は泳ぎ続けないと呼吸ができず死んでしまいます(ラム換水)。 しかし、メキシコのユカタン半島などの海底洞窟では、ペレスメジロザメが海底でじっとして動かない(休んでいる)姿が観察されています。

これは、洞窟内の湧き水によって酸素濃度が低くなり、また真水が混じることで寄生虫を駆除する効果があるため、あえてここで休んでいるのではないかと考えられています。この発見は、サメの生態に関する常識を覆すものでした。

食性

サンゴ礁に住む魚類や頭足類を捕食します。口を素早く突き出して獲物を捕らえることができます。

繁殖

胎生(胎盤形成型)。妊娠期間は約1年で、一度に4〜6匹の仔サメを産みます。

人との関わり・危険性

カリブ海ではダイビングの主役として非常に人気があります。バハマなどでは餌付けショーが行われており、多くのダイバーが間近で観察しています。

基本的には人を襲うことはありませんが、餌の匂いがする状況や、興奮している時には噛まれる事故も報告されています。大型で力も強いため、不用意な接触は避けるべきです。

観光資源として重要ですが、漁業による乱獲やサンゴ礁の減少により個体数は減っており、IUCNでは「絶滅危惧(EN)」に指定されています。

トリビア

  • 和名の由来:学名の種小名 perezi に由来します。
  • カリブの主:カリブ海で「リーフシャーク」といえば、このペレスメジロザメを指すことがほとんどです。

まとめ

ペレスメジロザメは、カリブ海のサンゴ礁を代表するサメです。海底洞窟で休むという意外な一面を持ち、ダイバーたちを魅了し続けています。美しい海とサメの共存を考える上で、象徴的な存在と言えるでしょう。

FAQ(よくある質問)

日本で見られますか?

いいえ。カリブ海や西大西洋にしか生息していないため、日本の海にはいません。日本の水族館でもほとんど見られません。

人を襲いますか?

普段は襲いませんが、餌付けされている個体は興奮しやすく、手などを噛まれる事故が起きています。

本当に眠るのですか?

はい。特定の海底洞窟の中では、長時間動かずにじっとしている姿が確認されています。これは寄生虫を落とすためなどの理由があるようです。

参考文献・出典

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