マモンツキテンジクザメ（Epaulette Shark）図鑑

胸びれを使って海底を「歩く」ことで有名なサメ。肩にある大きな黒い斑点がトレードマークの、愛嬌たっぷりな底生ザメです。

基本情報

和名	マモンツキテンジクザメ（真紋付天竺鮫）
英名	Epaulette Shark
学名	Hemiscyllium ocellatum
分類	テンジクザメ目テンジクザメ科モンツキテンジクザメ属
体長	0.7〜0.9m（最大1m程度）
体重	1kg〜
生息域	浅いサンゴ礁、潮だまり（水深0〜10m）
分布	オーストラリア北部、ニューギニア周辺の海域（グレートバリアリーフなど）
IUCNレッドリスト	低懸念（LC）
危険度	★☆☆☆☆（1：人に危害は加えない）

細長い体と丸い頭部を持つ、小型のサメです。

大きな黒斑：胸びれの上（肩のような場所）に、白い縁取りのある大きな黒い斑点があります。これが軍服の肩章（Epaulette）に見えることが英名の由来です。和名の「マモンツキ（真紋付）」も、家紋のように見えることに由来します。
ヒレ：胸びれと腹びれが筋肉質で、これを使って海底を這うように移動します。
体色：全体的に薄い褐色で、小さな黒い斑点が散らばっています。

最大の特徴は、胸びれと腹びれを足のように交互に動かして、海底を「歩く」ことです。潮が引いて水がなくなったサンゴ礁の上（陸上）でも、ヒレを使って這って移動し、隣の潮だまりへ移動することができます。

潮だまり（タイドプール）の酸素がほとんどなくなっても、数時間は平気で生き延びることができます。脳や心臓などの重要な器官への血流を調整し、酸素を使わずにエネルギーを生み出す特殊な能力を持っています。

カニ、エビ、貝類、小魚などを捕食します。砂の中に隠れている獲物を嗅覚で見つけ、砂ごと吸い込んで食べます。

卵生です。一度に2個の卵を産みます。

非常に大人しく、人に噛みつくことはめったにありません。浅瀬で歩いている姿を観察することができます。

そのユニークな行動と飼育のしやすさから、世界中の水族館で展示されています。日本でも多くの水族館で見ることができます。観賞魚（ペット）としても流通していますが、十分な広さの水槽が必要です。

目の後ろの模様：肩の大きな黒い斑点は「目玉模様」の役割も果たしており、敵に「大きな目」だと思わせて驚かせたり、急所である頭部から攻撃をそらす効果があると考えられています。

マモンツキテンジクザメは、ヒレで歩き、酸素がなくても生きられる、驚異的な適応力を持ったサメです。そのコミカルな動きと愛らしい姿は、サメの多様性を象徴する存在です。

本当に歩くのですか？

はい。胸びれと腹びれを器用に使って、海底をトコトコと歩くように移動します。泳ぐよりも歩くほうが得意なこともあります。

陸上でも生きられますか？

完全に乾燥してしまうと死んでしまいますが、湿った状態なら酸素がなくても数時間は耐えられます。その間に別の水場へ移動します。

どこで見られますか？

オーストラリアのグレートバリアリーフなどで野生個体が見られます。日本では水族館で飼育展示されていることが多いです。