基本情報
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和名:ヨゴレ
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英名:Oceanic Whitetip
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学名:Carcharhinus longimanus
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体長:2.5〜3.3m(最大で3.5m近い記録もある)
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体重:60〜170kg
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生息域:外洋の表層(水深0〜150m付近が中心)
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分布:世界の熱帯〜亜熱帯の暖かい外洋域
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IUCNレッドリスト:絶滅危惧(CR)
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危険度:★★★★☆(4:人に対して高い潜在的危険性を持つ)
形態
ヨゴレはメジロザメ科の中型サメで、非常に長い胸ビレと白く縁取られた鰭先端が最大の特徴です。
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背は褐色〜灰褐色、腹は白。
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胸ビレは長く丸みを帯び、飛行機の翼のように外洋遊泳に適しています。
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鰭の先端が白く擦れたように見えることから、日本語で「ヨゴレ(汚れ)」と呼ばれています。
生態
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行動:外洋の表層をゆったりと回遊し、俊敏さよりも持久力に優れています。大陸棚沿岸にはほとんど近寄らず、広い外洋を漂うように生きる典型的な「外洋性サメ」です。
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食性:マグロ、カツオ、イカ類などの中大型回遊魚を捕食。さらに死骸や漂流物を漁るスカベンジャーとしての一面もあります。
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繁殖:胎生で、妊娠期間は約1年。出産数は5〜15匹程度。仔ザメは外洋の表層で育ちます。
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生態系での位置:外洋における上位捕食者であり、同時に「掃除屋」として死骸処理を担う役割も持っています。
人との関わり・危険性
ヨゴレは「人類史上もっとも多く人を襲ったサメ」と呼ばれることもあります。
これはダイバーや遊泳者への攻撃ではなく、船の沈没事故で漂流した人々を襲った記録が多数あるためです。特に第二次世界大戦中の太平洋や大西洋での海難事故では、犠牲者を襲った例が数多く残されています。
現在でも人に対して潜在的な危険性が高く、オオメジロザメやイタチザメと並ぶ「危険なサメ」とされています。
一方で、フカヒレ漁の対象となり、外洋性で広範囲に分布していたヨゴレは近年急激に減少しています。IUCNは「絶滅危惧(CR)」に指定し、国際的な保護対象となっています。
トリビア
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悪名の由来:第二次大戦中の海難事故で多数の死者がヨゴレに襲われたことから「海難事故の悪名高きサメ」として知られる。
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長い胸ビレ:大洋を効率的に回遊するために発達したもので、外洋に特化したサメの象徴。
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ダイバーに人気:危険性はあるものの、その堂々とした姿はダイバーに人気で、紅海やバハマなどで観察ツアーが行われる。
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個体数の激減:フカヒレ漁や混獲により、過去50年で個体数が90%以上減少した海域もある。
まとめ
ヨゴレは、外洋を回遊する中型のサメで、長い胸ビレと白い鰭先が特徴です。外洋生態系の上位捕食者として重要な役割を持ちますが、海難事故での犠牲者を襲った記録から「人に危険なサメ」としても知られます。近年は乱獲により数を急速に減らしており、絶滅危惧種として国際的な保護が求められています。
FAQ(よくある質問)
Q1. ヨゴレは人を襲いますか?
A. はい。沿岸での事故は少ないですが、海難事故や漂流者を襲った例が多く、人類史上最も犠牲者を出したサメといわれます。
Q2. どこで見られますか?
A. 世界中の熱帯〜亜熱帯外洋に広く分布します。特に紅海やカリブ海ではダイバーによる観察も可能です。
Q3. どのくらい大きくなりますか?
A. 平均で2.5〜3.3m、大型個体は3.5m近くに達します。
Q4. 何を食べますか?
A. 中型の回遊魚(マグロやカツオ)、イカ類を捕食します。死骸や漂流物を漁ることもあります。
Q5. 絶滅の心配はありますか?
A. はい。IUCNでは「絶滅危惧(CR)」に分類されており、漁業による乱獲で個体数が激減しています。保護が急務です。
参考文献・出典
- IUCN Red List of Threatened Species https://www.iucnredlist.org/
- FishBase https://www.fishbase.se/
- FAO Fisheries & Aquaculture http://www.fao.org/fishery/