ヨーロッパネズミザメ(Porbeagle Shark)図鑑
「ニシネズミザメ」とも呼ばれる、冷たい海を高速で泳ぐサメ。ホホジロザメのような体型と、体温を保つ特殊能力を持っています。
基本情報
| 和名 | ヨーロッパネズミザメ(ニシネズミザメ) |
|---|---|
| 英名 | Porbeagle Shark |
| 学名 | Lamna nasus |
| 分類 | ネズミザメ目 ネズミザメ科 ネズミザメ属 |
| 体長 | 平均 2.5m(最大 3.5m 前後) |
| 体重 | 100〜230kg |
| 生息域 | 温帯〜寒帯の大陸棚・外洋(表層〜中層) |
| 分布 | 北大西洋(欧州・北米)、南半球の温帯域(南米・豪州・南アなど) |
| IUCNレッドリスト | 危急(VU) |
| 危険度 | ★★☆☆☆(2:大型だが人への攻撃性は低い) |
形態
ネズミザメ科特有の、ずんぐりとした流線型の体つきをしています。見た目はホホジロザメをひと回り小さくしたような印象です。
- 特徴:背びれの後ろ下側(基部)に、白い斑点があるのが識別ポイントです。
- 尾びれ:高速遊泳に適した「三日月型」をしています。
- 内温性:奇網(きもう)という血管構造を持ち、体温を周囲の海水よりも高く保つことができます。これにより、冷たい海でも筋肉を活発に動かせます。
生態
食性
非常に活発なハンターで、ニシン、サバ、タラなどの脂の乗った魚や、イカ類を高速で追い回して捕食します。
行動
季節によって南北に長距離を移動(回遊)します。単独でいることもありますが、餌を求めて群れを作ることもあります。遊び好きとされ、海面の浮遊物で遊ぶような行動も観察されています。
繁殖
胎生(卵食性)。母親のお腹の中で、最初に孵化した強い赤ちゃんが、後から出てくる未受精卵を食べて育ちます。一度に産まれるのは4尾前後です。
人との関わり・危険性
人に対する攻撃性は低く、ダイバーを襲うことはめったにありません。ただし大型で力強いため、釣り上げられた際などの扱いには注意が必要です。
欧米では古くから食用として人気があり、その肉質は「仔牛の肉(Veal of the sea)」と称されるほど美味です。しかし、乱獲によって数が激減してしまい、現在は多くの地域で厳しく保護・管理されています。
トリビア
- 名前の由来:英名「Porbeagle」は、イルカのような形(Porpoise)と、狩りのうまさ(Beagle犬)を組み合わせた言葉だと言われています。
- 和名の混乱:標準和名は「ニシネズミザメ」ですが、古い図鑑や地域によっては「ネズミザメ(別種:Salmon Shark)」と混同されることがあります。
まとめ
ヨーロッパネズミザメ(ニシネズミザメ)は、冷たい海を支配するタフなアスリートです。体温を保つ能力と高速遊泳で獲物を捕らえます。美味しいサメとしても知られますが、今はその数を守ることが優先されています。
FAQ(よくある質問)
Q1. ニシネズミザメと同じですか?
はい、同じ種類(Lamna nasus)です。日本では「ニシネズミザメ」、欧州では「ヨーロッパネズミザメ」と呼ばれることが多いです。
Q2. どのくらい速く泳げますか?
正確な速度は不明ですが、高速遊泳に適した体型と体温保持能力により、瞬発的なダッシュ力は非常に高いと考えられています。
Q3. 人に危険ですか?
人への攻撃はまれで、基本的に温和です。ただし大型のサメなので、不用意な接触は避けましょう。