ヨーロッパネズミザメ

現生のサメ

ヨーロッパネズミザメ(Porbeagle Shark)

基本情報

和名
ヨーロッパネズミザメ
英名
Porbeagle Shark
学名
Lamna nasus
体長
平均 2〜3m、最大 約3.5〜3.7m
体重
個体差が大きい(大型個体で 200kg 超の報告)
生息域
温帯おんたい域の大陸棚〜外洋。表層ひょうそう〜中層を広く回遊かいゆうし、ときに深場へも潜る。
分布
北大西洋(北東・北西)と南半球の温帯域(南大西洋・南インド洋・南太平洋)に広く散在。季節移動が顕著。
好適水温の目安
およそ 5〜18℃(地域差あり)
IUCNレッドリスト
危急(VU) (地域により評価差・資源回復の取り組み進行)
危険度
★☆☆☆☆(1:人に対して実質無害/外洋性で遭遇は多くない)

近い特徴のサメ

  • アオザメ:同じネズミザメ科。最速級・内温性が発達。
  • ホホジロザメ:内温性をもつ大型捕食者。形態的親近性。
  • ヨシキリザメ:外洋性の高速遊泳ゆうえい種で比較対象に適する。

形態

典型的な流線型の体と、左右対称に近い三日月型の尾びれをもつ高速型のフォルム。 同科に共通する内温性ないおんせい遊泳筋ゆうえいきんの温度保持)を備え、冷たい海でも高い出力を維持できる。 背側は鉛色なまりいろ青灰色あおはいしょく、腹側は白色で、胸びれ後端に白い縁取りが出る個体も多い。 歯は三角形でやや細長く、側尖そくせんは小さい。

生態・食性

外洋の表層ひょうそう〜中層で、ニシン類・サバ類・タラ類などの硬骨魚を主に捕食。 イカ類や甲殻類を取ることもある。高速遊泳ゆうえいと瞬発的な追尾ついびに長け、広い海域で餌を追う。 側線そくせん視覚しかくを活用し、温度躍層やくそう付近を利用する行動が示唆される。

行動

季節的な南北移動を行い、水温と餌資源に合わせて回遊かいゆう。 活動層は日周的に上下することがあり、長距離ちょうきょり移動の記録も多い。 群れを作ることもあるが、単独行動も一般的。

繁殖

胎生(卵食性)。胚が母体内で孵化ふか後、未受精卵を摂取して成長する。 出生サイズはおよそ 60〜75cm、産仔数さんしすうは少数(地域差はあるが 1〜4 程度が多い)。 成熟年齢は遅く(一般に数年〜10年以上)、寿命は 30 年級と見積もられる。

人との関わり・危険性

人に対する攻撃性は低く、統計とうけい上の事故は稀。主なリスクは延縄・流し網などでの混獲や、 一部地域での漁獲ぎょかくプレッシャー。資源管理しげんかんりや禁漁期・サイズ規制が実施されている海域もある。

トリビア

  • 属名 Lamna は「さめ」を意味し、内温性と高速遊泳ゆうえいが象徴的。
  • 胸びれ後端の白縁は野外識別のヒント。
  • 内温性はマグロ類と似たしくみで、冷水域での運動性能を高く保てる。

まとめ

ヨーロッパネズミザメは、内温性×流線型×三日月尾びれの組み合わせで冷たい海を駆ける高速遊泳ゆうえいサメ。 外洋の魚類を追う捕食者ほしょくしゃであり、資源管理と生態せいたい研究の対象としても重要です。

関連

FAQ(よくある質問)

どこに生息していますか?
北大西洋と南半球の温帯海域に広く分布します。季節移動により出現域が変わります。
どのくらい速く泳げますか?
高速遊泳ゆうえい型で、状況により時速数十kmの瞬発的ダッシュが可能と考えられます。
人に危険ですか?
人への攻撃はまれで、基本的に温和です。野生動物なので接近・接触は避けましょう。
繁殖の特徴は?
胎生(卵食性)で、産む子の数は少なめ。成熟が遅く資源管理が重要です。
似たサメとの見分け方は?
胸びれ後端の白縁や体型のバランスがヒント。アオザメほど吻は尖らず、ホホジロほど巨大ではありません。

参考文献・出典

  • IUCN Red List(保全状況ほぜんじょうきょうの評価と地域差)
  • 主要魚類データベース・漁業統計(分布・資源動向)
  • 学術レビュー(内温性・高速遊泳ゆうえいの機構)
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