オオテンジクザメ（Tawny Nurse Shark）図鑑

日本近海でも見られる、大型の底生サメ。コモリザメによく似ていますが、ヒレの形などで見分けられる別種です。

基本情報

和名	オオテンジクザメ（大天竺鮫）
英名	Tawny Nurse Shark
学名	Nebrius ferrugineus
分類	テンジクザメ目コモリザメ科オオテンジクザメ属
体長	平均 2.5〜3.0m（最大3.2m程度）
体重	100kg〜
生息域	沿岸の浅瀬、サンゴ礁、ドロップオフ（水深1〜70m）
分布	インド太平洋（紅海、東アフリカ、東南アジア、オーストラリア、日本南部など）
IUCNレッドリスト	危急（VU）
危険度	★★☆☆☆（2：非常におとなしいが噛む力は強い）

全体的な姿はコモリザメとそっくりですが、以下の点で区別できます。

夜行性で、タコ、イカ、甲殻類、ウニ、小魚などを捕食します。コモリザメと同様、獲物に口を押し当てて強力な吸引力で吸い込みます。「ズオッ」という大きな音を立てて吸い込む様子は迫力があります。

昼間は岩陰や洞窟で、仲間と重なり合うようにして休んでいます。定住性が強く、同じ場所に戻ってくる習性があるため、ダイビングポイントで「主（ぬし）」として親しまれている個体もいます。

胎生（卵食型）。子宮の中で孵化した仔サメが、未受精卵を食べて成長します。これはコモリザメ（卵黄依存型）との大きな違いです。

非常に温厚で、ダイバーが近づいても逃げないことが多いです。しかし、しつこく触ったり刺激を与えると、強力な顎で噛み付かれる事故が起きています。噛む力は非常に強く、一度噛み付くと離さないため大怪我になります。

日本の水族館で見られる「コモリザメ科」のサメは、多くがこのオオテンジクザメです。沖縄美ら海水族館などでは、繁殖にも成功しています。

オオテンジクザメは、日本近海のサンゴ礁にも生息する大型の底生サメです。コモリザメと混同されがちですが、ヒレの形や繁殖方法に違いがあります。水族館で見かけたら、ヒレの形を観察して見分けてみてください。

コモリザメと同じですか？

いいえ、別種です。オオテンジクザメはインド太平洋（日本含む）に生息し、ヒレが尖っています。コモリザメは大西洋に生息し、ヒレが丸いです。

人を襲いますか？

基本的には襲いませんが、イタズラをすると噛み付くことがあります。顎の力が強いため危険です。

どこで見られますか？

沖縄や奄美大島などのサンゴ礁で見られます。水族館でも飼育されています。