基本情報
-
和名:オオメジロザメ
-
英名:Bull Shark
-
学名:Carcharhinus leucas
-
体長:2.5〜3.5m(最大で4m近い記録もある)
-
体重:200〜300kg
-
生息域:沿岸、汽水域、淡水河川(海から数百km遡上する例もある)
-
分布:世界の熱帯〜亜熱帯の沿岸各地(アメリカ東海岸、アフリカ、東南アジア、オーストラリアなど)
-
IUCNレッドリスト:準絶滅危惧(NT)
-
危険度:★★★★☆(4:人に対して危険性が高いサメのひとつ)
形態
オオメジロザメはメジロザメ科に属し、ずんぐりした体型と幅広い吻が特徴です。
-
背は灰褐色〜青灰色、腹側は白。
-
背ビレは高く三角形で、胸ビレも幅広く力強い形をしています。
-
見た目はシンプルですが、頑丈な体つきと力強い顎は沿岸の強力な捕食者であることを示しています。
生態
-
行動:沿岸浅海域を好みますが、汽水域や淡水域にも適応できる数少ないサメです。アフリカのザンベジ川や南米のアマゾン川では、数百kmも遡上することが知られています。
-
食性:雑食傾向が強く、硬骨魚、エイ、他のサメ、小型のイルカや鳥類まで幅広く捕食します。場合によっては人や家畜を襲った記録もあります。
-
繁殖:胎生。妊娠期間は約1年で、1度に5〜15匹程度の仔を産みます。仔ザメは沿岸や汽水域の浅瀬を保育場として利用し、外敵から身を守ります。
-
行動圏:単独行動が多く、縄張り意識が強い傾向があります。
人との関わり・危険性
オオメジロザメは**ホホジロザメ、イタチザメと並び「三大危険ザメ」**と呼ばれるほど、人に対して危険性が高い種です。
-
沿岸や河口、川など人の活動域と重なるため、サメ事故の報告が多い種類です。
-
攻撃的な性質を持ち、特に濁った水域では人を誤認して襲うケースがあるとされます。
一方で、エコツーリズムの対象にもなり、南アフリカやフィジーではダイビングによる観察が行われています。
トリビア
-
名前の由来:体型が頑丈で、鼻先が広いことから「Bull(雄牛)」と呼ばれます。
-
淡水適応能力:腎臓と鰓の特別な機能により、塩分濃度を調整して淡水でも生存可能。これはサメ類の中では珍しい能力です。
-
有名な記録:アメリカ・ニュージャージー州で1916年に発生したサメ襲撃事件(「ジャーズ」のモデルのひとつ)には、オオメジロザメが関与していた可能性が指摘されています。
-
保護状況:漁業による混獲や環境破壊の影響を受けており、IUCNでは「準絶滅危惧(NT)」に指定されています。
まとめ
オオメジロザメは、世界中の熱帯〜亜熱帯沿岸に分布する大型サメで、淡水に侵入する能力と攻撃的な性質で知られています。人に対する危険性は高い一方、沿岸生態系の頂点捕食者として重要な役割を担っています。現在は資源減少が懸念されており、保護と管理が求められる種です。
FAQ(よくある質問)
Q1. オオメジロザメは人を襲いますか?
A. はい。ホホジロザメやイタチザメと並んで人への攻撃記録が多い危険種です。特に浅瀬や河口での事故が報告されています。
Q2. なぜ淡水で生きられるのですか?
A. 特殊な腎臓と鰓の機能で体内の塩分を調整できるため、淡水でも長期間生活できます。
Q3. どこで見ることができますか?
A. 世界中の熱帯〜亜熱帯沿岸で見られます。特にアフリカのザンベジ川、アマゾン川など淡水域での記録も有名です。
Q4. どのくらい大きくなりますか?
A. 平均で2.5〜3.5m、最大で4m近くに達する個体もいます。体重は200〜300kgです。
Q5. 絶滅の心配はありますか?
A. IUCNでは「準絶滅危惧(NT)」に分類されています。沿岸開発や混獲による影響が懸念されています。
参考文献・出典
- IUCN Red List of Threatened Species https://www.iucnredlist.org/
- FishBase https://www.fishbase.se/
- FAO Fisheries & Aquaculture http://www.fao.org/fishery/