トラフザメ（Zebra Shark）図鑑
幼魚は縞、成魚は斑点へ。模様が大きく変化するユニークなサメ。熱帯〜亜熱帯の沿岸のサンゴ礁や砂底に生息し、人への危険性は低い。
基本情報
| 和名 | トラフザメ（虎斑鮫） |
|---|---|
| 英名 | Zebra Shark |
| 学名 | Stegostoma fasciatum |
| 分類 | テンジクザメ目 トラフザメ科 トラフザメ属 |
| 体長 | 平均 2.5 m、最大で 3.5 m ほどに成長 |
| 体重 | 20〜30 kg 前後 |
| 生息域 | 熱帯・亜熱帯の沿岸、サンゴ礁や砂底 |
| 分布 | インド洋〜西太平洋（紅海、東南アジア、オーストラリア、日本南部など） |
| IUCNレッドリスト | 絶滅危惧（EN） |
| 危険度 | ★☆☆☆☆（1：人に危険性はほとんどない） |
形態
トラフザメはユニークな模様を持つことで知られ、幼魚と成魚で模様が大きく変化するのが最大の特徴です。
- 幼魚：黒い体に白い横縞があり、シマウマ（Zebra）のような姿です。
- 成魚：体は淡い黄褐色になり、黒い小さな斑点が全身に散らばります。
- 体型：体は細長く、尾びれが体長の半分ほどを占めるため、非常に優雅に泳ぎます。背中はやや平たく、底生生活に適応した形態です。
生態
行動
サンゴ礁や砂底に生息し、日中は海底にじっと横たわり、夜になると活発に泳ぎ回る夜行性です。ダイバーが近づいても逃げず、観察しやすいサメとして人気があります。
食性
甲殻類（カニ・エビ）、軟体動物（イカ・タコ）、底生魚を主に捕食します。強力な顎と細かい歯で硬い殻も砕きます。
繁殖
卵生。大きな卵鞘を海底に産み付けます。卵鞘は長さ 15〜20 cm になり、特徴的ならせん状の突起を持ちます。ふ化まで数か月かかります。
寿命
飼育下では 25 年以上生きた記録があり、比較的長寿です。
人との関わり・危険性
温厚な性格で人に危険を与えることはほとんどなく、世界各地の水族館で展示されダイバーにも人気です。
一方、野生下ではヒレや肉を目的とした乱獲等で数が減少し、IUCN では「絶滅危惧（EN）」に指定されており、保護や禁漁措置が求められています。
トリビア
- 名前の由来：幼魚の縞模様から「Zebra Shark（シマウマザメ）」と呼ばれますが、成長後の和名「トラフ（虎斑）」は、成魚の斑点模様を虎の斑紋に見立てたものです。
- ダイバーの人気者：穏やかで海底に寝そべることが多く、近距離撮影がしやすいです。
- 卵の不思議：卵鞘は頑丈で、ねじれた突起が海藻などに絡み波に流されにくい構造になっています。
まとめ
トラフザメは、幼魚と成魚で姿が大きく変わるユニークなサメです。温和で観察しやすく、水族館やエコツーリズムでも重要な存在ですが、漁業影響で絶滅危惧に指定されています。
FAQ（よくある質問）
Q1. トラフザメは人を襲いますか？
いいえ。非常に温厚で、人を襲うことはありません。ダイバーにとって人気の観察対象です。
Q2. どこでトラフザメを見ることができますか？
東南アジア、オーストラリア、日本南部（沖縄など）のサンゴ礁で観察されることがあります。多くの水族館でも飼育展示されています。
Q3. 幼魚と成魚で模様が違うのはなぜですか？
幼魚の縞模様はカモフラージュとして機能すると考えられます。成長に伴い生活様式が変わり、模様も斑点に変化します。
Q4. トラフザメはどのくらい生きますか？
野生下の正確な寿命は不明ですが、飼育下では 25 年以上の記録があります。
Q5. なぜ絶滅危惧種なのですか？
食用やヒレ目的の漁獲、沿岸環境の破壊による個体数減少が要因で、IUCN は絶滅危惧（EN）に指定しています。