レモンザメ

Negaprion brevirostris 現生のサメ

レモンザメ(Lemon Shark)図鑑

その名の通り「レモン色(黄色がかった茶色)」の体を持つサメ。マングローブの浅瀬で育ち、サメには珍しい「社会性」を持つことでも知られます。

基本情報

和名 レモンザメ
英名 Lemon Shark
学名 Negaprion brevirostris
分類 メジロザメ目 メジロザメ科 レモンザメ属
体長 2.5〜3.2m(最大3.5mを超える記録もある)
体重 150〜200kg
生息域 沿岸、ラグーン、マングローブ、浅いサンゴ礁
分布 西大西洋(フロリダ、カリブ海、ブラジルなど)、東太平洋の一部(メキシコ、コスタリカなど)
IUCNレッドリスト 危急(VU)
危険度 ★★☆☆☆(2:注意は必要だが人への脅威は大きくない)

形態

レモンザメは、名前のとおり体表が黄色がかった褐色(レモン色)をしており、これが浅い砂地やサンゴ礁で保護色として機能しています。

  • 体型:がっしりとしており、吻(鼻先)は短く丸みを帯びています。
  • ヒレ:2基の背ビレはほぼ同じ大きさで、体の中ほどに位置するのが特徴です。
  • 歯:細かく鋭く、魚類や甲殻類を効率よく捕らえるのに適しています。

生態

生息環境:サメのゆりかご

沿岸性が強く、ラグーンやマングローブなどの浅場に集団で生息します。特にマングローブ林は仔ザメの隠れ家となり、「サメのゆりかご(ナーサリー)」として機能します。

社会性:群れを作る

サメの中では珍しく、群れを形成する習性があります。若い個体は特定の浅場に集まり、社会的な行動をとることが研究で明らかになっています。

食性

主に硬骨魚類を捕食しますが、エイ、甲殻類、頭足類なども食べます。

繁殖

胎生。妊娠期間は約1年で、1回の出産で4〜17匹の仔を産みます。仔ザメは出生後しばらくの間、マングローブ林などの浅瀬で保護されながら成長します。

人との関わり・危険性

レモンザメは人に対して攻撃的ではなく、危険性は低いとされています。バハマやフロリダなどでは、レモンザメの観察を目的としたダイビングツアーが行われており、ダイバーに人気があります。

ただし大型で力強いため、接近時には注意が必要です。サメ事故の統計でも咬傷例はごく少数ですが報告があります。

一方で、漁業やフカヒレ目的で捕獲されることがあり、さらに沿岸開発による生息地(特にマングローブ)の破壊が大きな脅威となっています。そのため IUCNでは「危急(VU)」に分類されています。

トリビア

  • 研究のモデル種:比較的浅場に生息し、飼育もしやすいため、学習能力や行動学の研究モデルとして最もよく研究されているサメの一つです。
  • 名前の由来:特定の光の下で見ると体が黄色く見えることから「Lemon Shark」と名付けられました。

まとめ

レモンザメは、黄色い体とマングローブ依存というユニークな特徴を持つサメです。サメの社会性や学習能力を知る上で重要な存在ですが、その揺りかごであるマングローブの減少とともに数を減らしており、保護の必要が高まっています。

FAQ(よくある質問)

Q1. レモンザメは人を襲いますか?

基本的におとなしく、人を積極的に襲うことはありません。ただし大型で力が強いため、不用意に接近すると危険です。

Q2. どこで観察できますか?

フロリダ、バハマ、カリブ海、ブラジル沿岸など西大西洋が主な観察地です。観光ダイビングの対象になることもあります。

Q3. どのくらい大きくなりますか?

平均で2.5〜3.2m、最大で3.5m以上になることもあります。

Q4. 群れを作るのは珍しいのですか?

はい。サメは基本的に単独行動が多いですが、レモンザメは群れを作り、社会的な行動を示す数少ないサメです。

Q5. 絶滅の心配はありますか?

IUCNでは「危急(VU)」に指定されています。漁業や沿岸開発による生息地の破壊が進んでおり、今後の保全が急務とされています。

参考文献・出典

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