近い将来、サメは反撃できなくなるかもしれない

出典: Sharks Losing Their Bite? Acidic Oceans Could Be The Problem – The Weather Channel

When sharks lose their bite

 

要約

ドイツのデュッセルドルフ大学(HHU)の研究チームが、海洋酸性化がサメの歯の構造を弱めることを実験的に証明した。研究では、シーライフ・オーバーハウゼン水族館のクロトガリモドキ(Blacktip reef shark)から自然に脱落した歯を使用。現在の海水pH(8.1)と、2300年に予測される酸性度(pH7.3)の環境に8週間浸した結果、後者では歯の表面に亀裂・孔・腐食が発生し、根や歯冠の構造が著しく脆化した。

これは酸性化が歯のリン酸塩ミネラルを溶解させるためとされる。教授セバスチャン・フラウネ氏は「自然界で最も精巧な“武器”であるサメの歯でさえ、酸性化には耐えられない」と警告。歯の再生能力が変化の速度に追いつかない恐れも指摘された。この成果は**『Frontiers in Marine Science』**誌に掲載されたeurekalert.org


管理者の感想

サメの歯が環境変化で脆くなるというのは、まるで海そのものが静かに悲鳴を上げているように感じます。歯はサメにとって生存の象徴であり、食物連鎖を支える基盤でもあります。

それが酸性化で弱っていくという事実は、単なる生理的問題ではなく、海の生態系全体に波紋を広げる深刻な兆候だと思います。数億年の進化を経てきた“自然界の完璧な設計”が、人間の活動によって揺らいでいる。サメ好きとして、この研究は科学的な発見であると同時に、私たち人間への静かな警鐘だと受け止めました。

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