基本情報
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和名:シロワニ
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英名:Sand Tiger Shark
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学名:Carcharias taurus
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体長:2〜3.2m(平均2.5m前後)
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体重:90〜160kg
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生息域:温帯沿岸の岩礁・砂地(水深0〜200m程度)
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分布:大西洋西部・南アフリカ沿岸・インド洋・太平洋の一部(オーストラリア東岸、日本近海など)
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IUCNレッドリスト:危急(VU)
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危険度:★★☆☆☆(2:不用意に近づけば危険だが、人を積極的に襲うことはない)
形態
シロワニは「ワニ」の名を持ちますが、サメの一種で、外見がワニのように鋭く突き出た歯を持つことから命名されました。
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口から常に牙のような歯がのぞき、迫力のある姿をしています。
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背鰭は第1背鰭と第2背鰭がほぼ同じ大きさという特徴的な形。
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体色は灰褐色で、背から側面にかけて不規則な暗色斑が入ることがあります。
生態
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行動:夜行性傾向があり、日中は洞窟や岩棚の下で休み、夜になると活発に行動します。
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食性:硬骨魚類やイカ、甲殻類を捕食。小型サメを食べることもあります。
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繁殖:胎生ですが特異な繁殖形態を持ちます。
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胎内で孵化した仔ザメ同士が共食いを行い、最終的に**1匹の胎仔だけが生き残る「胎内共食い(子宮内カニバリズム)」**が起こることで知られます。
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そのため、出産数は非常に少なく、繁殖力が低いのが特徴です。
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寿命:約15〜20年。
人との関わり・危険性
シロワニは外見の迫力に反して性格は比較的おとなしく、人を積極的に襲うことはほとんどありません。危険度は中程度に分類されますが、刺激を与えなければ人への脅威は低いサメです。
一方で、漁業や混獲による影響を強く受けています。また、繁殖力が非常に低いため、資源の減少に直結しやすく、IUCNでは「危急(VU)」に指定されています。
トリビア
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展示水槽の人気者:迫力ある歯並びと大型の体から、水族館での展示において人気があります。ダイナミックな外見と温厚な性格のギャップも魅力のひとつ。
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胎内共食い:繁殖方法としては極めて珍しく、サメの中でも特異な生態。進化的に「最強の子を残す戦略」と考えられています。
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地域名のバリエーション:英語では「Sand Tiger Shark」「Grey Nurse Shark」「Spotted Ragged-tooth Shark」など、地域によって異なる呼び方をされます。
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ダイバーとの遭遇:岩礁や沈船の周囲で群れを作ることがあり、ダイバーには比較的観察しやすいサメとして知られます。
まとめ
シロワニは、突き出た歯列と迫力ある姿を持ちながら、性格は温和で人への攻撃性は低いサメです。独特な「胎内共食い」という繁殖戦略を持つことでも有名で、サメの進化的多様性を示す存在です。繁殖力の低さから個体数は減少傾向にあり、保護が必要とされています。
FAQ(よくある質問)
Q1. シロワニは人を襲いますか?
A. 基本的に人を襲うことはありません。ただし不用意に近づいたり刺激すると危険です。
Q2. なぜ「ワニ」という名前がついているのですか?
A. 歯が常にむき出しになっている姿がワニを連想させるためです。
Q3. どのくらいの大きさになりますか?
A. 平均で2〜3m、大型個体では3.2mに達します。
Q4. なぜ絶滅が心配されているのですか?
A. 胎内共食いによる繁殖力の低さと、漁業・混獲の影響で個体数が減少しているためです。
Q5. 水族館で見られますか?
A. はい。日本を含め世界各地の水族館で展示されており、迫力ある姿が人気です。
参考文献・出典
- IUCN Red List of Threatened Species https://www.iucnredlist.org/
- FishBase https://www.fishbase.se/
- FAO Fisheries & Aquaculture http://www.fao.org/fishery/