地球上で最も大きな魚類であるサメたちの中には、肉食ではなく、海の小さな生き物である プランクトンを食べて生きる種類がいます。特に有名なのが、 ジンベエザメ、ウバザメ、そして メガマウスザメの3種で、これらは三大プランクトン食サメと呼ばれます。
ここでは、それぞれのサメの特徴を比較しながら、彼らがどのようにして巨大な体を維持しているのか、 その不思議な生態に迫ります。
1. ジンベエザメ(Whale Shark)
三大プランクトン食サメの中で最大で、現生する魚類で最大の種です。
- 体の特徴: 背中には白い斑点と線が並び、和服の「甚平」のような模様。巨大な口は頭の先端にあり、 遊泳しながら海水を吸い込み、プランクトンを濾過します。
- 食性: オキアミ、カイアシ類などの動物プランクトンや、小型の魚の群れを濾過摂食。
- 生態: 温和で、人に近づくことも。熱帯〜温帯の暖かい海に広く分布し、数千kmの長距離回遊で知られる。
- 保全状況: IUCNレッドリスト「絶滅危惧(EN)」。
2. ウバザメ(Basking Shark)
ジンベエザメに次いで大きいサメで、世界中の温帯海域に生息します。
- 体の特徴: 非常に巨大な口が特徴。口を開けたままゆっくり泳ぎ、口幅は1m以上になることも。
- 食性: 海水中の植物・動物プランクトンを濾過摂食。
- 生態: 動きはゆっくり。季節や海域により鉛直移動や回遊を行うが、未解明の点も多い。
- 保全状況: IUCNレッドリスト「絶滅危惧(EN)」。
3. メガマウスザメ(Megamouth Shark)
1976年に発見された比較的新しい種類。発見例が少なく、生態には多くの謎が残ります。
- 体の特徴: 体長に比して非常に大きな口。口の内側が明るく光を反射する構造で、発光プランクトンを模すことで獲物を引き寄せるという説も。
- 食性: 主に動物プランクトンや小魚を濾過摂食。
- 生態: 昼は水深500〜1000m、夜は200m付近へ上がる日周鉛直移動を行う。
- 保全状況: IUCNレッドリスト「低懸念(LC)」だが、データ不足の指摘もあり今後の研究が重要。
比較表で見る三大プランクトン食サメ
項目 | ジンベエザメ | ウバザメ | メガマウスザメ |
---|---|---|---|
和名 | ジンベエザメ | ウバザメ | メガマウスザメ |
最大体長 | 約18m | 約12m | 約7.5m |
口の形 | 頭の先端に横向きの大きな口 | 非常に大きく開く口 | 突き出した大きな口 |
主な生息域 | 温帯〜熱帯の外洋 | 世界の温帯海域 | 深海〜中層 |
行動 | 長距離回遊 | ゆっくりとした遊泳 | 日周鉛直移動 |
IUCNレッドリスト | 絶滅危惧(EN) | 絶滅危惧(EN) | 低懸念(LC) |
まとめ
- ジンベエザメ:広い海を回遊しながら餌を探す。
- ウバザメ:口を開けてゆっくり泳ぎ、フィルターで濾過。
- メガマウスザメ:深場と浅場を行き来して効率よく捕食。
巨大でありながら温厚な彼らは、海の生態系を支える重要な存在。保全と研究の前進が期待されます。
関連リンク
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- ジンベエザメ(図鑑) / ウバザメ(図鑑) / メガマウスザメ(図鑑)
よくある質問(FAQ)
- プランクトンだけで、どうしてあんなに大きくなれるの?
- 回遊しながら大量の海水を濾過して効率よく餌を集めるためです。 体内の代謝も比較的ゆっくりで、長距離移動と鉛直移動を組み合わせて 餌の多い水塊を利用します。
- 人に危険はないの?
- 3種とも温和で、人を積極的に攻撃することはありません。 ただし接近・接触はサメにも人にも負担なので、十分な距離を保って観察しましょう。
- どこで見られるの?
- ジンベエザメは熱帯〜温帯域の外洋、ウバザメは温帯海域の沿岸〜外洋、メガマウスザメは深場中心(夜は浅場へ)で、 海域・季節により出現が大きく変わります。