タイワンザメ図鑑
水族館でおなじみの「ドチザメ」によく似た、温和そうな顔つきのサメがいます。 その名はタイワンザメ。名前に「台湾」とつきますが、実は日本の海にも生息している身近なサメの仲間です。
英名で「Graceful(優雅な)」と呼ばれる通り、体に散りばめられた美しい斑点模様と、少しスリムな体型が特徴です。 ドチザメと混同されがちですが、全く別の科に属するこのサメの、知られざる生態を紹介します。
基本情報
| 和名 | タイワンザメ(台湾鮫) |
|---|---|
| 英名 | Graceful catshark (グレイスフル・キャットシャーク) |
| 学名 | Proscyllium habereri |
| 分類 | メジロザメ目 タイワンザメ科 |
| 体長 | 最大 約65cm(小型) |
| 生息域 | 水深50m〜100m前後の砂泥底(やや深場) |
| 分布 | 西太平洋(南日本、台湾、ベトナム、インドネシアなど) |
| IUCNレッドリスト | 軽度懸念(LC) |
| 危険度 | ★☆☆☆☆(1:おとなしい・小さい) |
形態:優雅な模様の小型ザメ
ドチザメと似ているけれど?
一見すると、水族館のタッチプールなどにいる「ドチザメ」と非常によく似ています。 しかし、タイワンザメはドチザメよりもやや体型がスリムで、背びれの位置が少し後ろにあります。 最大でも65cm程度と、1.5mほどになるドチザメに比べて小型です。
「優雅な」斑点模様
英名「Graceful catshark(優雅なネコザメの仲間)」の由来となったのが、その美しい体色です。 淡い褐色の地に、暗褐色の斑点模様が全身に散りばめられています。 ドチザメも縞模様や斑点を持ちますが、タイワンザメの模様はより細かく、上品な印象を与えます。
生態と動画
やや深い砂泥底の住人
水深50メートルから100メートル付近の、大陸棚にある砂地や泥地を好んで生息しています。 完全な深海ではありませんが、沿岸の浅瀬よりは少し深い場所で、小魚や甲殻類、軟体動物などを捕食して暮らしています。
卵を産む(卵生)
ドチザメや近縁のオナガドチザメは母親のお腹で子供を育てる「胎生(卵胎生)」ですが、タイワンザメは「卵生」です。 「マーメイドパース(人魚の財布)」と呼ばれる硬い殻に入った卵を海底に産み落とします。
【動画】タイワンザメの姿
水族館での展示例はそれほど多くないため、動いている姿は貴重です。(動画参照:Sasuke Tsujita)
※映像は非常に希少なため、近縁種やイメージが含まれる場合があります。
人との関わり
利用は少ないが混獲される
底引き網漁などで、他の食用魚に混じって捕獲(混獲)されることがあります。 体が小さく、練り製品の材料などになる程度で、積極的に食用として流通することはほとんどありません。
よくある質問(FAQ)
Q: 「台湾」にしかいないのですか?
A: いいえ。最初に報告された標本が台湾産だったためこの名がつきましたが、南日本の太平洋側や東シナ海など、日本の海にも普通に生息しています。
Q: 水族館で見られますか?
A: ドチザメほど一般的ではありませんが、展示している水族館もあります。ドチザメの水槽に一緒に泳いでいることもあるので、模様の違いを観察してみてください。
Q: 性格は?危険ですか?
A: 非常に温厚で、人も襲いません。口も小さいため、ダイバーなどが遭遇しても危険はありません。
まとめ
タイワンザメは、ドチザメのそっくりさんですが、「タイワンザメ科」という独自のグループを代表するサメです。 名前に反して日本にもいる、少し深場の優雅な住人。もし水族館で見かけたら、その美しい斑点模様に注目してみてください。
関連
参考文献・出典
- FishBase – Graceful catshark (Proscyllium habereri)
- 仲谷一宏 (2016). 『サメ-海の王者たち-改訂版』. ブックマン社.