サメはどこに住んでいる？世界の海に広がるサメのすみか

はじめに

「サメはどこにいるの？」という素朴そぼくな疑問ぎもんに答えるために、世界の海でのサメの分布ぶんぷと生息域せいそくいきの考え方をやさしくまとめました。サメは温かい海にも冷たい海にも、浅い浜辺から深い海まで、意外と広い場所にすんでいます。ただし、種類しゅるいによって好みの水温や環境かんきょうがちがうため、「どこにでも同じようにいる」わけではありません。

世界の海とサメの分布ぶんぷの全体像

地球の海は大きく、熱帯ねったい・亜熱帯あねったい・温帯おんたい・寒帯かんたいの水温帯に分けられます。多くのサメは温かい海を好みますが、冷たい海でくらす種しゅもいます。たとえば、暖かい浅い海では沿岸えんがんをめぐるメジロザメめじろざめのなかまが見られ、外洋の広い回遊かいゆうルートではアオザメあおざめなどが獲物えものを追って長距離を移動します。一方、深い海では、光の少ない環境に合ったサメが静かにくらしています。

水深とすみか：沿岸えんがん・外洋がいよう・深海しんかい

沿岸（浅い海）

浜辺や岩場いわば、サンゴ礁しょうなど。小魚やカニが多く、捕食ほしょくしやすい場所です。入江いりえや湾わんは波が静かで、子どものサメ（幼魚ようぎょ）の育そだちばとして使われることもあります。

外洋（沖の広い海）

岸から遠く、潮目しおめや海流がぶつかる境目さかいめにエサが集まり、そこを目印に回遊かいゆうする種しゅがいます。体力があり、長い距離を泳げるタイプが中心です。

深海（暗くて深い海）

光が弱く水温が低い世界。エサは少ないけれど、海山かいざんや海溝かいこうの近くでは栄養えいようが集まり、そこを生活のよりどころにする種しゅがいます。

水温でみる好み：暖かい海と冷たい海

多くのサメは20～25℃くらいの水を好みますが、寒冷かんれいな海で活動できる種しゅもいます。水温が季節きせつで変わる地域では、サメも季節回遊きせつかいゆうして「すごしやすい温度帯」を追いかけます。これにより、同じ海でも夏と冬で見られる種しゅが入れかわることがあります。

塩分のちがい：海水・汽水きすい・淡水

基本は海水ですが、川の水がまじる汽水域きすいいき（河口や干潟ひがたなど）に入る種しゅもいます。ごく一部には、淡水へ長く入っていける種しゅも知られています。ただし淡水にすむサメは少数で、ほとんどは海が生活の舞台です。

地形とえさ：サンゴ礁しょう・海草藻場かいそうそうば・大陸棚たいりくだな

• サンゴ礁しょう：小魚が多く、かくれる場所も多いので、沿岸えんがん性のサメがよく見られます。
• 海草藻場かいそうそうば：エビやカニ、小魚が多い育そだちば。幼魚の隠かくれ場所としても大切です。
• 大陸棚たいりくだな：海底がゆるやかに深くなる広い台地。栄養えいようがたまりやすく、エサも豊富です。

一日の行動と潮しおの動き

朝と夕方は小魚が動きやすく、サメの活動かつどうも高まることがあります。また、潮目しおめや流れの変化でエサが集まると、サメもそこへ向かいます。水がにごると見まちがいが起きやすく、人も注意が必要です。万が一のときの行動も合わせて確認しましょう。

季節と地域のちがい

同じ沿岸えんがんでも、夏は稚魚ちぎょや小魚が増えてサメの出現しゅつげんが多くなる場所があります。反対に冬の方がえさが集まる地域もあります。海水温の年変化ねんへんかや、川の水がどれくらい入るかによって、季節回遊きせつかいゆうのパターンが変わります。

人のすぐ近くに来ることはある？

ありますが、目的はさまざまです。エサを追って偶然近づいた、にごりで見まちがえた、縄張なわばり内に入られて警戒けいかいした、など。多くは「人をねらっている」わけではありません。サメは人をどれくらい襲うの？も読めば、危険きけんを過度かどにおそれる必要がないことがわかります。

観察の心得こころえ（ビーチでできること）

• 水の透明度とうめいどと波の強さを観察かんさつする。
• 海鳥が低く旋回せんかいしていないか、小魚の群れがざわついていないかを見る。
• 釣りや魚をさばく場所からは距離をとる。
• 川の水が入る河口かこう近くではにごりに注意。

もしも遭遇そうぐうしたら、行動マニュアルの「止まる→見る→ゆっくり後退」を思い出して行動しましょう。

なぜ場所ごとにサメがちがうの？

えさの種類、水温、流れ、すみかの形などが組み合わさって、その場所の「暮くらしやすさ」が決まります。たとえばサンゴ礁しょうはかくれ場所が多く、沿岸えんがん性のサメに向いています。外洋では速く泳いで広くさがすことが必要になり、体つきや泳ぎ方にも違ちがいが出ます。

まとめ：広い海、それぞれのすみか

• サメは熱帯ねったいから寒帯かんたいまで広く分布。ただし種しゅごとに好みの環境かんきょうがある。
• 沿岸えんがん・外洋・深海でくらし方がちがう。エサと水温、地形が大きく関係。
• 季節回遊きせつかいゆうで見られる種しゅがかわる地域も多い。
• 人の近くに来ることはあるが、多くは見まちがいや偶然ぐうぜん。落ち着いて行動する。

さらに安全に海を楽しむためには、危険の知識と、豆知識の両方を活用しましょう。