映画の中のサメは正しい?名作で“科学”をファクトチェック

サメの映画はドキドキでおもしろい! でも、ほんとうのサメとちがうところもあります。
このページでは、映画の表現ほんとうのサメの性質をくらべて、わかりやすくチェックします。海での安全な過ごし方もいっしょに学びましょう。

1.まずは結論:映画は“演出”、サメは“自然の生きもの”

映画は見ている人を楽しませるために、こわさやスピードを大げさにすることがあります。いっぽうサメは、海の中でむだなく暮らすために、ふだんはゆっくり、ときどきだけすばやく動く生きものです。映画と現実のちがいを知ると、サメのすごさがもっとよくわかります。

2.いつも全力ダッシュでおいかけてくる?

映画の表現:サメが何分でも全力で人をおいかける。

ほんとう:サメにはふだんのおよぎ(巡航)と、えものに近づくときの一時的なダッシュがあります。いつも全力ではつかれてしまいます。海で長く回遊するため、むだのない動きが基本です。

  • ダッシュは短い時間だけ。ながく続けるのはにがて。
  • えものに気づかれないよう、最後だけスピードを上げることが多い。

3.歯と咬む力は“なんでもバリバリ”?

映画の表現:サメはボートでも鉄でもかみくだく。

ほんとう:サメの歯は“えものを切る・つかむ”ための形。種によって形がちがい、貝をくだくサメもいますが、なんでも粉々にするためではありません。大きいサメでも、かんだものかむ場所によっては壊せません。

  • 歯は何列もはえ変わります。抜けてもすぐ次の歯が出てきます。
  • “ためしがみ”のように一度かんで、えものかどうか確かめることがあります。

4.血のにおいでどこからでも瞬間集合?

映画の表現:すこしの血でも、サメが遠くから一気にやってくる。

ほんとう:サメはにおいに敏感ですが、海では流れにのってにおいが広がります。距離が遠かったり、潮の方向がちがったりすると、すぐには気づきません。においだけで“どこからでも”集まるわけではないのです。

5.背びれがいつも海面に見えている?

映画の表現:背びれが水面にずっと出ていてこわい。

ほんとう:サメの泳ぐ深さや波のようすで、背びれは見えたり見えなかったりします。
多くの時間は水面の下を動いており、いつも背びれが見えるわけではありません。

6.ボートに飛びのるほどジャンプする?

映画の表現:サメが大ジャンプでボートにぶつかる。

ほんとう:一部のサメ(たとえばアオザメやホホジロザメ)はジャンプすることがありますが、特別な行動です。えものをおどろかせたり、体についた虫を落としたりといった目的があると考えられています。ボートにのるためにジャンプするわけではありません。

7.人をしつこくおいかける?

映画の表現:サメが一人をねらって、海のどこまでもおいかける。

ほんとう:サメは人を獲物としてねらうことはほとんどありません。多くは見まちがい好奇心で近づくだけ。危険を感じたら、ゆっくり岸に戻るのがコツです。

8.ボートや板をよく壊す?

映画の表現:サメがボートに体当たりして粉々にする。

ほんとう:サメがボートを壊すことはまれです。釣り餌のにおいや、きらきらした物に反応して近寄ることはありますが、ふだんからボートを攻撃しているわけではありません。

9.夕方・夜はとくにこわい?

サメは薄暗い時間に動くことがあり、そのときは見まちがいが起きやすくなります。映画ほど極端ではありませんが、朝はやい・夕方・夜は海に入るのをさけると安心です。

10.サメの“感じる力”はほんとうにすごい

サメは、目や耳だけでなく、水の流れ弱い電気も感じます(ロレンチーニ器官・側線)。この力が、映画の「なんでも見つけるサメ」というイメージのもとになっています。ただし、海の流れやにごりなどの条件で、感知できる範囲は変わります。

11.海での安全マナー(保存してね)

  • ひとりで泳がない。大人といっしょに行動しよう。
  • 朝はやい・夕方・夜は入らない。水がにごっている場所もさける。
  • 小魚のむれや海鳥が急にさがっている場所、釣りや撒き餌の近くには近よらない。
  • キラキラ目立つアクセサリーははずし、落ち着いた色の装備に。
  • サメを見たら、あわてずに岸に向かってゆっくり後退しよう。

12.よくある質問(Q&A)

Q. サメは人をねらっているの?
A. いいえ。ほとんどのサメは人をえものにしていません。見まちがいや好奇心で近づくことが多いです。
Q. 服の色でサメはよってくる?
A. サメは色そのものより明るさのちがい(コントラスト)に反応します。目立ちすぎる色やキラキラはさけると安心です。
Q. 血が少しでも出ていたらすぐ危ない?
A. においは海の流れで広がります。すぐに見つかるとはかぎりませんが、無理せず上がるのが安全です。

13.もっと学ぶ:おすすめの楽しみ方

  • 水族館:サメの体の形や歯のならびを近くで観察。
  • 自由研究:水の波や光の反射の実験で、見え方のふしぎを体験。
  • 読み物:サメの“第六感”の記事をチェックして知識をアップ。

14.まとめ

映画は娯楽としてとても楽しいもの。こわい表現もありますが、ほんとうのサメは海でくらすための知恵を持つ生きものです。映画と現実のちがいを知れば、サメの魅力がもっと見えてきます。

参考文献・出典

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール